残念ながら、志村正彦君が自ら携わり製作した最後のシングルとなってしまいました。
この曲もまた、海外からのお問い合わせが多い曲のひとつですが、日本でもJ Sports 2009 「ワールドベースボール・クラシック (WBC) 中継」、また「J Sports Stadium 2010」テーマソングとして起用され、フジファブリックファンのみならず多くの日本人が耳にされたことと思います。
今年の8月10日には、年に一回の「プロ野球公式戦 in 山梨」が山梨県甲府市小瀬スポーツ公園で行われ、「横浜ベイスターズ 対 中日ドラゴンズ」の試合に甲子園出場予選が終わったばかりの野球場が、また熱気で包まれました。
この試合の中継放送の合間に何度も「Sugar!!」がかかり、胸がいっぱいになりました。
野球少年だった志村君、まさか小中学生のころに自分の作った曲がプロ野球中継のテーマソングになろうとは、夢にも思わなかったでしょう。
彼の成功を心から嬉しく思うと共に、これからもっともっと素晴らしい未来が待っていたのに、とやるせない気持ちになったことも事実でした。
Sugar!!の歌詞通り、志村君の人生は全力で走った29年間でした。
適当に適当なことをしている人の作った人の曲にはない、純粋な真実の魂がこもったこの曲は、深いところで私たちの心を打つのだと思います。
毎朝自分の今日しなければいけないことをスケジュール表に書き、休日を返上してまでも音楽を探求し続けた志村君。
時間としては長くなかったかもしれないけれど、普通の人が80年かけてもしきれないことを立派にし終わって、神様にその仕事を高く評価され、幸せいっぱいの安らかな国へ普通の人よりも早く呼び戻してもらったと私は思っています。
「一生懸命」何かをすることは、日本人の美徳でもあります。
勤勉さの証であり、まじめな性質の上にのみ成り立つことだからです。
常々このブログに書いていることですが、その土地の風土と気候は大きくそこに住む人間に関係していると思います。日本は四季の国であり、3ヶ月ごとに忙しく季節が変わるため、キリギリスさんのようにノホホンとしていると大変なことになります。
衣食住に事欠かないように、秋や冬に備えて暖かく陽気な季節から準備をしておかねばならないからです。
また、天変地異が多いのも一つの原因といえるでしょう。
よく外国人に、「原始時代、日本を安住の地と選んだ人間はどういうつもりだったのだろうか。」という質問を受けるのですが、確かに火山、地震、台風、津波、洪水と一昔前までは人間の力ではどうすることもできない天災に、日本人は悩まされ続けてきました。
タイでは2004年に起きたスマトラ沖大地震による津波被害が記憶に新しいですが、通常日本にくるような台風、地震、火山の噴火はまったくといっていいほどありません。
せいぜい雨季の時に各地で洪水被害があるぐらいですが、日本の天災とは比較にならない規模です。
このような日本の風土が、勤勉さやもののあはれという感情を生み出したのだと思います。
今年は2名の方がノーベル化学賞を受賞しましたが、アジアの中でこれほど多くのノーベル賞受賞者を輩出した国はありません。
今は元気のない日本ですが、もう一度自分の国が他国に誇れる文化や精神を思い出すいい機会だと思います。
タイに来てこの「勤勉さ」が世界共通でないことが、つくづく分かりました。
タイ人は、川に魚は沢山泳いでいるし、一年中屋外で寝ても凍死する心配はないし、森に行けば果物の宝庫ですし、特に勤勉でなくても飢え死にすることはないのです。
彼らのなんでも「マイペンライ」(「気にしなくても大丈夫」)の精神にこの風土は大きく関係しているでしょう。
それはそれで素晴らしいタイ人特有の気質だと思います。
他の文化を正当に評価できるためにも、自分の生まれ育った国の文化や精神を忘れないでいたいものです。
志村君が「Sugar!!」の中で「空をまたいで」まで「胸張って伝えたい事」。
2009年8月末に山中湖で行われたライブで、「Sugar!!」を演奏したフジファブリック。
遠くを見るような志村君の目が、忘れられません。
「上空で光る星」になった志村君が伝えてくれたことは、日本人が世界に誇ることのできる「まじめさ」と「勤勉さ」もその中のひとつではないでしょうか。
全速力で駆け抜けた自分自身の人生で、私たちに見せて教えてくれた大切なモノ。
「届けに行くから待ってて」
その「大切なモノ」を忘れないでいたいと思います。
今日の一曲は、「Sugar!」です。
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