Thursday 21 January 2016

銀河と星


「銀河」の歌詞を、改めて読んでみました。

皆様もよろしかったら、歌詞カード、「志村正彦全詩集」などで、もう一度お読みになってみて下さい。文字となって視覚から入る歌詞は、音楽にのって聴覚から入る歌詞とは、また違う趣があります。

ファンの皆様がお気付きの通り、歌詞の中に「銀河」という言葉も、「星」という言葉も、一度も出てはきません。「桜の季節」「陽炎」「赤黄色の金木犀」と、こういう点でも違いますよね。

「真夜中 二時過ぎ」
「白い息」
「夜空の果て」

たった三つのフレーズですが、リスナーの私たちは「寒い冬の夜」という事に何気なく気付かされ、そしてその後に続く

「きらきらの空」 

決定打です。
星がキラキラ瞬いている冬の夜空。

「冬」「凍てつき冴え渡る空気」「夜」「星」という大切なところは限定して、あとのところはリスナーの想像に任せ、それぞれ自分で思い思いに歌詞を膨らませてもらう。

あまりに何も限定されていない歌詞でも、事細かに状況が限定されている歌詞でも、リスナーは想像を膨らませることが難しいです。

でもある程度の条件を限定し、「フジファブリックの設定したいもの」という枠の中で、リスナー一人一人に想像を膨らませてもらって、それぞれの経験、知識、思い、想像力などでその人だけの「銀河」が生まれる。

それを可能にする言葉の選択が絶妙で、誰も真似することができない志村正彦のフジファブリックワールド。不思議な世界が広がります。
「・・・今日は帰りにメンバーとタワレコに行きまして、『銀河』がどんな感じか見に行きました。やっぱ嬉しいもんです。皆さんもどんな感じか見に行って下さい。」(東京、音楽、ロックンロール 完全版 : p88 「2005年2月5日」)
当時のウキウキ感が伝わってくるようです。

改めて「銀河」
おききください!


Wednesday 20 January 2016

「冬銀河」と「銀河」


1月17日の夜半から18日の昼にかけて、山梨県内は雪が降りました。
河口湖の積雪量は、なんと39センチ!

雪が降ってもすぐにお日様が出てくるのが山梨のいいところですが、雪の後は冷え込みますね。それにしても、富士山がきれいです。(路地裏の僕たちメンバーのカズさん、いつも素敵な写真をご提供下さり、ありがとうございます。)あの左になびく雪煙は、左の方向(西の方向)に向かって強い風が吹いている証拠でもあります。麓の富士吉田でも、寒い風が吹いているのでしょうか。

23日(土)にはまた雪予報ですし、1月25日(月)には最低気温-12℃(!)の予報ですので、富士吉田の皆様、そして富士吉田を訪れるご予定のファンの皆様、くれぐれも厳しい寒さと路面凍結にお気をつけください!

前回に続いて、「どうして冬に『銀河」なのか。」について考えてみたいと思います。

一年を通して季節ごとに発売されたシングル「四季盤」。

最後の「冬」を飾るフジファブリックの4thシングル「銀河」は、2005年2月2日にリリースされました。フジファブリック Official Website - Discography
今から11年前になります。

2004年11月10日にリリースされた1stアルバム「フジファブリック」を完成させた後に、とりかかった楽曲です。アルバム作成という大仕事を通して、バンドとして精神的にも技術的にも、きっと多くのことを学び、経験したことでしょう。

その後に作成されたシングルは、前3曲とは一味違う雰囲気をもつ曲となりました。

「曲を作る時点で、冬盤は冬っぽくない感じにしたいというかロックなノレる感じの曲を作りたいなってなんとなく考えてたんです」FAB BOOK : p74 「Single 『銀河』」)

そして志村君はこう続けます。

「冬盤だから雪みたいのはかっこ悪いなと思って。雪とか寒さとか、そういうのは安易だから。マフラーとかね(笑)。寒いという前に、空気がきれいだとかそっちの方にいったわけです」FAB BOOK : p74 「Single 『銀河』」)

そうです。
そこなのです。

「『冬』といえばこれ」という単純明快なキーワードを歌詞や曲名の中であえて避けたために、春の「桜の季節」、夏の「陽炎」、秋の「赤黄色の金木犀」とは少し違った魅力を携える冬盤が登場したのです。


まず曲名である「銀河」。

「天の川」「銀漢」などと同様、秋を表す季語です。

旧暦の秋、現在の7月、8月、9月のことですが、この季節に天の川が空の一番高いところにかかり、天の川が最も明るく見えるため、秋の季語となっています。

一方、「冬銀河」という季語もあります。
こちらは文字通り、冬(現在の10月、11月、12月)の季語です。
「真冬冴えきわまった夜空にかかる天の川」のことを、表しています。(合本 俳句歳時記 新版 : p735 「冬銀河」)

秋の季語の「天の川」や「銀河」より、いくらか明るさが弱く、寒さに凜と冴え渡る冬の夜空に瞬く星が特徴です。同じく「冬の星」も、冬の季語です。


季語のことなど、作詞をした志村君が考えていたかどうかは、実のところわかりません。でも寒さに凜と冴え渡る夜空に星が瞬くのをみて、「冬だな。」という思いに駆られるのは日本人共通であり、春の桜、夏の陽炎(ちなみに陽炎は夏の季語ではなく、春の季語です)、秋の金木犀と同様、銀河や星は冬を感じる言葉として昔から使われてきたということを、今日は皆様にお伝えしたいと思いました。

難しい話はこちらに置いておいて、冬の夜に外に出ると夜空がきれいで思い出に残る。これで十分ですね!

メールを下さったファンの方、ありがとうございました!興味深い質問から、ひとつの記事にまでなりました。

次回はもう一度、歌詞を読んでみたいと思います。

今日の一曲もこの曲。
「銀河」です。

下では激しくカッティング・ギターを弾きつつ、上では何事もなかったようにシラーっとダラーっと歌う志村君。山内さん奏でる流れるようなリードギターと、キラキラな金澤さんのキーボードサウンド、そしてそれらを支える安定の加藤さんのベース。

何気なく聴いていたけど、演奏するのは大変そうですね・・・。

Monday 18 January 2016

冬の夜空がきれいな理由 「銀河」

朝起きてNHK国際放送をつけてみたら、予想をはるかに越える山梨県内の積雪量に愕然・・・。河口湖の39センチは、簡単に長靴が埋まる深さですね・・・。

皆さんがお住まいの地方は、いかがですか。

今夜から冬の嵐になる地方もあるそうですので、くれぐれもお気をつけ下さい。

さて、今日のタイトル「銀河」。

以前、ファンの方から「フジファブリックの四季盤。春の『桜の季節』、夏の『陽炎』、秋の『赤黄色の金木犀』までは分かりますが、どうして冬が『銀河』なんですか。」という質問メールを頂きました。

はっきりとは思い出せないのですが、「冬は他の季節よりも、星がきれいにみえるからではないでしょうか。」とお答えしたような・・・。

今日は「フジファブリックの4thシングル『銀河』は、なぜ四季盤の『冬』として発売されたのか。」について、考えてみたいと思います。


皆さんは、「冬は星空がきれいにみえるな。」と思ったことはありませんか。

冬の間、日本海側、また雪の多い地方は曇りのことが多いので、太平洋側に限られる話ではありますが、夜空がきれいにみえる理由は科学的にも証明されています。


まず、空気が乾燥して澄んでいること。

気温が高いと水分が蒸発し、空気に含まれる水蒸気の量が増えます。気温が高くなる夏の間は、地面や川、湖、海から水蒸気が多く出て、空気の透明度は低くなります。逆に気温の低くなる冬の間は、空気中の水蒸気が減り、空気の透明度は高くなります。
太平洋側では夏と比べ、冬の方が降雨量が少ないというのも、関係しています。

富士山の全貌を夏にみるのが難しいというのも、この理由からだと思います。フジファブリックファンでは志村君のお誕生日の時より、ご命日に富士吉田を訪れた時の方が富士山がきれいにみられた!という方が、多いのではないでしょうか。

次に冬は日没時刻が早いこと。

山梨では、冬には夕方5時というと暗くなってしまいますが、夏では夜7時過ぎまで明るく、夜空が太陽の光の影響を受けているのがわかります。
冬は夜が長く、夜空も非常に暗くなり、背景の黒が濃ければ濃いほど、月や星がきれいに見えるのです。

最後に、空気中の塵や埃が少ないこと。

秋から冬にかけ、日本上空を吹くジェット気流(偏西風)の影響で、空気中の塵や埃が飛ばされ空気の透明度が増します。また温度・湿度・気圧などの違いで、空気中には多くの層がありますが、風が吹くとこれらの層が動き、層の間を通る光が屈折して、星がきらきらと瞬いてみえます。

風が強いと、星は早く瞬くのです。

冬に夜空がきれいに見える理由を、理解していただけましたか。

次回は「銀河」と「冬銀河」という二つの季語についてです。

今日の一曲は、もちろんこの曲、「銀河」です。
不思議な歌詞に、女子高生の不思議な踊り(MV中)。
四季盤の中で意表を突く一曲ですが、この魅力にとりつかれた日から、フジファブリックワールドのとりこになるのです!


Wednesday 13 January 2016

2016年 新年のごあいさつ



あけまして おめでとう ございます

新年のごあいさつがずいぶんと遅れてしまいましたが、松の内ということでお許し下さい。

昨年中はこのブログを訪れて下さり、ありがとうございました。

昨年1月末に家族が病に倒れ、その後も生活のバランスをとることがなかなかできないまま、時間ばかりが過ぎてしまいました。たいした記事を書くこともできずに、志村君にも読者の皆様にも、大変申し訳なく思っております。

そんな時でも国内外から多数のメールを頂戴し、ファンの皆様に応援して頂きましたこと、感謝しております。
ありがとうございました。

「志村君を巡って、フジファブリックを巡って、今年はどんないいことが起きるかな?!」と、期待でいっぱいの2016年です!

2016年の抱負は、「『FAB FOX』と『TEENAGER』の英訳を終わらせる」ことです。趣味の一環として始めた歌詞の英訳ですが、海外にいるファンからのお問い合わせが多くなってきた今、必需性を常に感じております。

英訳が終わった曲から順番に、こちらのブログでご報告させていただきます。

今年もお付き合いのほど、よろしくお願い申し上げます。

(上記の写真は、路地裏の僕たちメンバー、カズ君が2016年元旦に忠霊塔にて撮影したものです。カズ君、いつも素敵な写真を提供してくれて、ありがとうございます!)

今日の一曲は、「銀河」です。
凍てつく寒さに澄み切った星空、富士吉田の夜を思い出します。