先週から今週にかけて、駆け足里帰りをしてまいりました。
金木犀が咲く秋のこの時期に帰ったのは何十年ぶりで、改めて「日本の秋」の美しさに感激しました。
海外に長い日本人の方に共通していることかもしれませんが、必要以上に日本を「美化」しているところがあるんですよね。
いいようにいいように、考えようとする。
いいようにいいように、考えようとする。
思い出の中の日本から記憶をたどって物事を考える傾向がある上に、その「思い出」の大半は学生時代のものだったりするので、たまに日本に戻ると、「こんなだったかな・・・?」と思うことも多々あります。
でも今回はそれに反して、私の思い出の中の秋より日本の秋はずっとずっと美しく、金木犀の香りも、神社の境内に落ちていた和グルミの殻も、高い澄んだ空も、風のにおいも、心にしみいる美しさでした。
特に夜、庭から聞こえる虫の音。
夏の間聞こえていた蝉の声とは、同じ虫の声でもなぜこんなに趣が違うのでしょう。
タイにもイギリスにも音を奏でる虫たちは居ますが、これほどの種類の虫の音は聞いたことがありません。
どの虫がどんな音色で鳴いているのか・・・。
鈴虫「リイイン、リイイン」、松虫「チンチロリン、チンチロリン」、こおろぎ「キリキリキリキリコロコロコロ」などなど。
他にも、邯鄲、クツワムシ、大和鈴、キリギリス、馬追など多くの虫がいます。
面白いサイトを発見しましたので、こちらでお聴きください。
こんなサイトが存在すること自体に、日本人の虫たちに対する心を感じます。
今ではいつでも気軽に虫の音が聴ける「おもちゃ」までありますが、やはり秋の夜に肌寒い風に吹かれながら、暗闇で聴く虫の音の代わりにはなり得ませんよね。あの季節のあの空気の中で聴くからこそ、秋の寂しさを感じるのですから。
中国には、「闘犬」ならぬ「闘コオロギ」というのがいて、一人一人自分のコオロギを持ち寄り闘わせるならわしがあります。
賭博の対象ですので自分のコオロギが勝った場合、飼い主さんには多額の掛金が入るため、皆とても真剣です。
コオロギの声音とは関係ないので、どちらかというと日本の子供がカブトムシを闘わせるのに似ているでしょうか。
日本人が秋の虫たちを愛でる感性とは、本質的に別物だと思います。
日本人が古くから虫の音を愛でた理由というのは、声音が美しいということだけではありません。
虫たちの生命の儚さが大きく関係しています。
美しい音色を聞かせてくれる虫たちは、晩秋になると静かに草むらの陰で死んで生きます。
あの音色はオスがメスを誘う恋の歌であり、恋が実った暁には消えて無くなってしまうのです。
美しい声音と、一瞬しか続かない生命の儚さが、秋の夜長に聞こえる虫たちの声を一層美しく、そして愛おしくするのです。
四季の移ろいに心打たれ、芸術を愛でる繊細な感性に加え、もののあはれを感じる虫の音は、日本人の心をとらえて離しません。
フジファブリックの「虫の祭り」も、この研ぎ澄まされた感性が光る名曲です。
「部屋の外にいる虫の音が 祭りの様に賑やかで皮肉のようだ」
明治時代、お寺のお祭りでは鳴き声観賞用の虫たちが、小さな竹籠に入れて売られていたそうです。その様子を小泉八雲が、「虫の音楽家」の中で幻想的に描写しています。
祭りの賑やかさの中で並ぶ竹籠の中で歌う虫たち。
フジファブリックワールドそのものだと思っていたら、古くから日本人の心の中でこの二つは深い関係にあったのでした。
一人取り残された部屋で聴こえる虫の声。
まるで自分の寂しい心を歌ってくれているかのように聞こえます。
「部屋の外にいる虫の音が 花火のように鮮やかに聞こえてくるよ」
花火についてはまた後日、追記として詳しく書こうと思っていますが、日本人にとって花火は特別なものです。こちらの記事をどうぞ。
夜空に鮮やかに打ち上げられる花火。
あの一瞬の夏の夜の華やかさが、今夜は虫の音に感じられる。
そして花火のように鮮やかな虫の音は、にじんで、揺れて、跳ねて、結んで、開いて、閉じて、そして消えていく。
一人になってしまった自分の心と同様、それは抗えないもの、どうすることもできないものであります。
常にフジファブリックの音楽の中枢にある「もののあはれ」、そのものです。
この「虫の祭り」は、「秋盤」シングルCD「赤黄色の金木犀」のB面として収録されています。今回のFAB BOXの発売で、初めて耳にした方も多いかもしれませんが、この名曲中の名曲をぜひもっともっと多くの方に聴いていただきたいと、願ってやみません。
ぜひ深まる秋の空気の中でお聴きください。
フジファブリック
PS
日本でご覧のフジファブリックファンの皆さまへ
世界中の多くの方々に、フジファブリックの素晴らしい世界に触れてもらいたいという思いから始めたこのブログですが、将来は日本のファンと世界の色々な国のファンの両方が楽しめるブログになってくれたらいいな、と思っています。
これからこのブログでして欲しい企画、このブログの感想など、どんな些細なことでも構いません。
各記事の下にあるコメント投稿欄か、メールにぜひ皆様の声をお寄せください。
イギリス、アメリカ、オーストラリア、カナダなど英語圏の国々だけでなく、フランス、スイス、ルーマニア、ウクライナ、南アフリカ、ブラジル、韓国、モンゴル、マレーシアなど多くの国の方々がフジファブリックの曲を聴きに、このサイトに来て下さいます。
日本のフジファブリックファンの方、なにかいいアイデアがありましたら、ぜひどうぞよろしくお願いいたします!
鈴虫「リイイン、リイイン」、松虫「チンチロリン、チンチロリン」、こおろぎ「キリキリキリキリコロコロコロ」などなど。
他にも、邯鄲、クツワムシ、大和鈴、キリギリス、馬追など多くの虫がいます。
面白いサイトを発見しましたので、こちらでお聴きください。
こんなサイトが存在すること自体に、日本人の虫たちに対する心を感じます。
今ではいつでも気軽に虫の音が聴ける「おもちゃ」までありますが、やはり秋の夜に肌寒い風に吹かれながら、暗闇で聴く虫の音の代わりにはなり得ませんよね。あの季節のあの空気の中で聴くからこそ、秋の寂しさを感じるのですから。
中国には、「闘犬」ならぬ「闘コオロギ」というのがいて、一人一人自分のコオロギを持ち寄り闘わせるならわしがあります。
賭博の対象ですので自分のコオロギが勝った場合、飼い主さんには多額の掛金が入るため、皆とても真剣です。
コオロギの声音とは関係ないので、どちらかというと日本の子供がカブトムシを闘わせるのに似ているでしょうか。
日本人が秋の虫たちを愛でる感性とは、本質的に別物だと思います。
日本人が古くから虫の音を愛でた理由というのは、声音が美しいということだけではありません。
虫たちの生命の儚さが大きく関係しています。
美しい音色を聞かせてくれる虫たちは、晩秋になると静かに草むらの陰で死んで生きます。
あの音色はオスがメスを誘う恋の歌であり、恋が実った暁には消えて無くなってしまうのです。
美しい声音と、一瞬しか続かない生命の儚さが、秋の夜長に聞こえる虫たちの声を一層美しく、そして愛おしくするのです。
四季の移ろいに心打たれ、芸術を愛でる繊細な感性に加え、もののあはれを感じる虫の音は、日本人の心をとらえて離しません。
フジファブリックの「虫の祭り」も、この研ぎ澄まされた感性が光る名曲です。
「部屋の外にいる虫の音が 祭りの様に賑やかで皮肉のようだ」
明治時代、お寺のお祭りでは鳴き声観賞用の虫たちが、小さな竹籠に入れて売られていたそうです。その様子を小泉八雲が、「虫の音楽家」の中で幻想的に描写しています。
祭りの賑やかさの中で並ぶ竹籠の中で歌う虫たち。
フジファブリックワールドそのものだと思っていたら、古くから日本人の心の中でこの二つは深い関係にあったのでした。
一人取り残された部屋で聴こえる虫の声。
まるで自分の寂しい心を歌ってくれているかのように聞こえます。
「部屋の外にいる虫の音が 花火のように鮮やかに聞こえてくるよ」
花火についてはまた後日、追記として詳しく書こうと思っていますが、日本人にとって花火は特別なものです。こちらの記事をどうぞ。
夜空に鮮やかに打ち上げられる花火。
あの一瞬の夏の夜の華やかさが、今夜は虫の音に感じられる。
そして花火のように鮮やかな虫の音は、にじんで、揺れて、跳ねて、結んで、開いて、閉じて、そして消えていく。
一人になってしまった自分の心と同様、それは抗えないもの、どうすることもできないものであります。
常にフジファブリックの音楽の中枢にある「もののあはれ」、そのものです。
この「虫の祭り」は、「秋盤」シングルCD「赤黄色の金木犀」のB面として収録されています。今回のFAB BOXの発売で、初めて耳にした方も多いかもしれませんが、この名曲中の名曲をぜひもっともっと多くの方に聴いていただきたいと、願ってやみません。
ぜひ深まる秋の空気の中でお聴きください。
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世界中の多くの方々に、フジファブリックの素晴らしい世界に触れてもらいたいという思いから始めたこのブログですが、将来は日本のファンと世界の色々な国のファンの両方が楽しめるブログになってくれたらいいな、と思っています。
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イギリス、アメリカ、オーストラリア、カナダなど英語圏の国々だけでなく、フランス、スイス、ルーマニア、ウクライナ、南アフリカ、ブラジル、韓国、モンゴル、マレーシアなど多くの国の方々がフジファブリックの曲を聴きに、このサイトに来て下さいます。
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