Friday 26 October 2018

虫の祭り (2018年版 改稿記事)

ここ二週間というもの、私の住んでいるタイでは、夜になると土砂降りの雨と空を裂くような雷に見舞われ、雨季の終わりを感じています。雨が降り止むと、家の裏の草原にはチカチカと蛍の光が飛び交い、カエルの声が聞こえてきます。

のどかな田舎の風景です。

今からちょうど一か月前の9月26日には、富士山の初冠雪が観測され(「富士山 初冠雪」 日本気象協会 2018年9月26日付記事)、麓の街、山梨県富士吉田市では一気に秋が深まりました。ここ最近は、朝晩の冷え込みが厳しくなり、今週の日曜日(2018年10月28日)からは、最低気温が10度に届かない日ばかりが予想されています。来年の春まで、温かい朝はおあずけですね。

タイのように四季のない国にいると、時々無性に四季が懐かしくなります。
庭に咲く金木犀の香り、神社の境内に落ちていた和グルミの殻、高く澄んだ空、赤や黄に紅葉する葉
そして、夕方になると暗い草陰から聞こえる虫の音。
夏の間聞こえていた蝉の声とは、同じ虫の声でもなぜこんなに趣が違うのでしょう。

タイにも音を奏でる虫は居ますが、これほどの種類の虫の音は聞いたことがありません。


「多くの種類の虫たちが、それぞれの声と節、トーンでいっせいに鳴いているのにも関わらず、美しいハーモニーになっている。」という当たり前のことが、なんと感動的でしょうか。


鈴虫「リイイン、リイイン」
松虫「チンチロリン、チンチロリン」
こおろぎ「キリキリキリキリコロコロコロ」

他にも、邯鄲、クツワムシ、大和鈴、キリギリス、馬追など、秋の夜長に美しい音色を奏でる虫は、日本全国で実に30種類余りもいるそうです。


諸事情により、すぐに虫の音を聴くことができないファンの皆様に、或るサイトをご紹介したいと思います。日本鳴く虫保存会本部

万葉の古代から歌人や作家の心を代弁し、これを読む人に感動と希望を与えてくれる虫の音。最近では開発、都市化により虫たちが減少していることを憂い、鳴く虫を保存したいと考える方々が、昭和42年に「日本鳴く虫保存会」を発足しました。色々な活動をしていらっしゃいますが、このサイトにある「フォトギャラリー」では、35種類の虫の音を聴くことができます。

このような会やサイトが存在することが驚きであり、日本人の虫に対する並々ならぬ情熱を感じます。


日本人が古くから虫の音を愛でた理由というのは、声音が美しいということだけではありません。虫たちの生命の儚さが大きく関係しています。

美しい音色を聞かせてくれる虫たちは、晩秋になると静かに草むらの陰で死んで生きます。あの音色はオスがメスを誘う恋の歌であり、恋が実った後には肉体は消えて無くなってしまうのです。

美しい声音と、一瞬しか続かない生命の儚さが、秋の夜長に聞こえる虫たちの声を一層美しく、そして愛おしくします。四季の移ろいに心打たれ、芸術を愛でる繊細な感性に加え、もののあはれを感じる虫の音は、日本人の心をとらえて離しません。



フジファブリックの「虫の祭り」でも、志村君の研ぎ澄まされた感性が光ります。


部屋の外にいる虫の音が 祭りの様に賑やかで皮肉のようだ


「虫」と「祭り」は、一見「物寂しさ」と「賑やか」に代表されるような「対照的なもの」というイメージがありますが、実は古くから日本人に好まれてきた組み合わせでした。

その様子を小泉八雲が、「虫の演奏家」(小泉八雲 (1990). 日本の心 講談社)の中で幻想的に描写しています。

いつの日か日本へいかれるのなら、是非一度は縁日へ足を運ばれるとよい。縁日は夜見るに限る。無数のランプや提灯の光のもと、ものみなこの上なく素晴らしくみえる。 
小泉八雲(1990). 虫の演奏家 日本の心 講談社 pp.312

明治時代、お祭りでは鳴き声観賞用の虫たちが小さな竹籠に入れて売られていました。

次回に続きます。

Tuesday 23 October 2018

二十四節気 「霜降」 Nijuushi-sekki 'Soko'

The period of 'Soko' starts today and ends on 6th November 2018.

'Soko' (霜降)literally means 'descent of frost', indicating sudden arrival of frost on wildflowers between an autumn and a winter.This time of the year, we enjoy the good scent in the fresh air in the early morning.

Leaves on the trees, such as maples and ginkgo, start changing the colour red and yellow. Wintry blast blowing from the north, during the period of 'Soko', is called 'Kogarashi' (literally meaning 'withering trees') in particular - autumnal melancholy and a feeling of utter desolation is present.

In Fujiyoshida City, where Masahiko Shimura who was the vocalist and guitarist of the band, Fujifabric, is from, the temperature drops to 5-8℃ at night and rises up to about 15℃.

Since the Manyo era (the period between AD 600 and 759), leaves turning red and yellow in the autumn is praised as much as cherry blossoms in the spring. The koyo season in Japan typically begins in mid-September in Hokkaido to the north, gradually spreading to the southern end of the Japanese archipelago in about 50 days. The change occurs when the low temperature at dawn is about 6-7℃ and the viewing season lasts for 20-25 days. The exact timing to see the leaves fluctuates somewhta from year to year. 


二十四節気 霜降(そうこう)2018年10月23日~11月7日

「つゆが陰気に結ばれて、霜となりて降るゆへ也」(歴便覧)
秋も終わりにさしかかり、霜が降りることから「しもふり」ともいいます。

もみじをはじめ、紅葉が一気に始まる時期です。
冬を感じるひんやりとした霜の冷気と、もう少しだけとどまろうとする秋の名残が同居する、もの哀しさと寂しさを感じる季節でもあります。

万葉の昔から、日本人は紅葉を愛でてきました。もみじは紅葉の代表格ですが、北海道は10月10日前後に紅く色付き、東北では10月末、関東では11月中旬に紅葉となり、その他の地域でも11月終わりには見ごろを迎えます。

霜は大気中の水分が地面に凍り付いたもので、夏なら露となるものが気温が低いために氷の結晶になったもの。山梨県甲府市では、例年、初霜が降りるのが11月3日ですから(平年値)、まさに「霜降」の季節なのです。甲府地方気象台 初霜 富士吉田では、きっと2週間ほど早いのでしょうか。富士山のふもとの街、富士吉田では、冬の到来も早いのです。




今日の一曲は、サボテンレコードです。
夕日がきれいな一曲です。

Monday 8 October 2018

富士吉田市がバンコクにPR拠点 


富士吉田市が、山梨県内自治体としては初めて、タイの首都、バンコクにプロモーションコーナーを設置することになりました。

詳しくはこちらをどうぞ。
産経ニュース 「富士吉田市がバンコクにPR拠点」(2018年9月8日付)

LNEWS 「佐川アドバンス/タイで山梨県富士吉田市のインバウンド支援」(2018年9月21日付)

日本語総合情報サイト@タイランド 「佐川アドバンス、タイで訪日プロモーション事業」(2018年9月25日付)

バンコク経済新聞 「佐川アドバンスがタイで観光プロモーション支援事業 第一弾は富士吉田市」(2018年9月22日)

昨今のタイにおける日本ブームは、目を見張るものがあります。

平成25年7月1日より、タイ国民が訪日するにあたり観光ビザが免除になったこと。
経済成長により、タイ人が以前と比べてとても裕福になったこと。
など、いろいろな理由が考えられますが、とても喜ばしいことだと思います。

訪日タイ人を対象にしたアンケートをみてみましょう。


人気観光地ランキング
人気スポット
第一位 富士山

人気の街(市町村・地名)
第一位 富士山地域

人気の都道府県
第一位 北海道
第二位 山梨県

観光経済新聞 「訪日タイ人の人気観光地ランキングで、都道府県別では北海道、スポット別では富士山が一位」(2018年2月9日付)

なんということでしょう!

こんなにタイ人が山梨と富士山が好きだったなんて、これこそアメージングタイランド(これはタイ国が自国の観光プロモーションのために作ったキャッチフレーズです)。

「投票した観光地に行きたい理由」としては、「四季、自然を楽しみたい」「日本らしいから」「写真を撮りに行きたい」でした。

富士山は山梨県と静岡県に跨る山にも関わらず、なぜ山梨県が静岡県よりランキングが上になったのだろうと考えていたのですが、これはもしかしてひとえに忠霊塔と富士五湖のおかげなのではないでしょうか(勝手な推測です)。

数年前、タイ国内で放送されている人気旅番組で忠霊塔を取り上げてからというもの、タイ人の意識の中では「日本=忠霊塔+富士山」となっていて、山梨県出身というと「忠霊塔、行きたいの!」と必ずと言っていいほど言われます。特に春は、日本人でも美しいと思う「五重塔+富士山+桜」がみられる観光スポットとあっては、人気なのもうなづけます。

京都や奈良では、美しい寺院が多く点在しますが、富士山をバックに写真を撮ることはできません。

タイのお正月「ソンクラーン」が4月13日なので、ちょうど富士吉田の桜の見ごろと正月休暇が合うのも、大きな理由のひとつかもしれません。

忠霊塔での写真撮影を終え、富士山が湖に映える富士五湖に行くという観光ルートは、地元の私達にとっても魅力的です。

佐川アドバンスが行う支援事業として第一弾が富士吉田市とあっては、これからも目が離せません!

そして富士吉田市役所のみなさん
バンコクに富士吉田市案内所がオープンしたあかつきには、ぜひ店内でフジファブリックの曲をかけて下さい!

よろしくお願い致します。

路地裏の僕たちのメンバー、kazzさん、情報をありがとうございました。

今日の一曲は、「浮雲」です。
志村君が「浮雲」を作ったころの雰囲気を感じるのが難しいほど、忠霊塔も変わりました。
安全のための柵が設置され、外国人旅行者のために無料Wi-Fiまで利用できるようになり、この数年の間に歌碑が二つも建立されました。なんだかいろいろと複雑な気持ちです。

二十四節気 「寒露」 Nijuushi-sekki 'Kanro'

The period of 'Kanro' starts today and ends on 23rd October 2018.

'Kanro' literally means 'cold dew', indicating dew on wildflowers in the beginning of autumn season. Farmers are engaged in the mid-harvest of five grain rice at this time of the year after a long period of autumn rain.

Dew comes in contact with cold atmosphere - not yet, but is almost to turn into frost. The colour of the leaves change to red and yellow.  Migratory birds, such as swallows, leave Japan heading back to Australia and Southeast Asia, and the winter welcomes those winter birds like wild geese.

This time of the year, we enjoy the clear blue sky with a dry, stable atmosphere.

In Fujiyoshida City, where Masahiko Shimura who was the vocalist and guitarist of the band, Fujifabric, is from, the temperature drops to 11-12℃ at night and rises up to about 18℃.


2018年は、10月8日から23日までが二十四節気「寒露」

Friday 5 October 2018

ここ最近の「若者のすべて」 Vol.3

2018年9月11日付ブログ記事より続きます。

「若者のすべて」は、スロースターターだっただけなのです。

じわじわとファンを増やしながら、今日に至ります。一発屋で終わるのは本望ではないと考えていた志村君らしい、地道な、でも堅実かつ確実な方法で、「若者のすべて」は世に広まってきているのかもしれないと思います。


8月26日にテレビ朝日で放送された「関ジャム 完全燃SHOW」の中で、歌詞プロデューサーのいしわたり淳治さんが言っていたことを、「これこれ!こういうことなんだ!」と思ったファンの方も多かったのではないでしょうか。以下、いしわたりさんの分析です。

「(歌詞に出てくる『天気予報士がテレビで言ってた』『夕方5時のチャイム』などの言葉を例として取り上げ)情景描写に関してはとても具体的なんですけど、『君』っていうワードは一切でてこないし、でも聞いていくと『あれ、偶然花火で会うのかな』みたいな、たぶん全員が同じ物語を『君』っていう言葉をつかわずに思い浮かべるって、奇跡」


「詞に主役となる『君』という言葉がなく、重要な要素がない喪失感を生んでいる」

9月26日放送された「スッキリ」(日本テレビ系)で取り上げられた「若者のすべて」が、みなさんの記憶に新しいかと思います。

番組内コーナー冒頭では、まず「若者のすべて」のPVがでましたね!

槇原敬之さん、桜井和寿さん、スガシカオさんなど多くのアーティストがカバーしたことも、伝えてくれました。

「赤黄色の金木犀」のPV
渋谷公会堂での「陽炎」
ROCK IN JAPAN  FESTIVALでの「虹」
COUNT DOWN JAPANでの「銀河」
富士五湖文化センターでの「銀河」

限られた放送時間の中で、志村君がボーカル・ギターを勤める過去の映像が、地上波でこれほどたくさん流れたことは画期的であり、ファンとしてとても嬉しかったです。

フジファブリックの大切な曲「茜色の夕日」は、志村君の声とフジフジ富士Qでの民生さんの動画、両方が流れました。
 
志村君が音楽の道を志すきっかけとなった奥田民生さん、バイト時代からの先輩の綾小路翔さんの言葉も、「HARUNAのまとめ」で「奥田民生、綾小路翔が認めた歌詞&メロディー」と要約された、まさにそのままでしたね。

「フジファブリックの魅力が志村正彦さんが綴る叙情的な歌詞と、胸をしめつけられるような切なさを感じるメロディー」との説明も含め、番組の動画作成を担当した方は、絶対にフジファブリックファンでしょう!?というほど、志村君愛にあふれた紹介映像だったように思います。

近藤春菜さんは、10年前からいろいろなアーティストや芸人仲間から、「フジファブリック、すごくいい。」ときいて、人のカラオケなどでも聞いて、大好きになったと言っていました。コーナー最後に「天の声」役、山里亮太さんも堂に入った歌声で「若者のすべて」を披露してくれました。ダイノジ大谷さん、フットボールアワーの岩尾さんなど、フジファブリックファンを公言している芸人さんも多いので、お笑い好きだった志村君は喜んでいるのかなと勝手に想像していました。

諸事情あったのだとは思いますが、生演奏で「若者のすべて」のAメロが省略されたことは、初めて聞く方には曲の良さがいまいち伝わらなかったのではないかと、残念でした・・・。

「暑さ寒さも彼岸まで」の言葉通り、お彼岸もすぎた9月26日、「若者のすべて」が暑い季節の終わりを告げたような気がしました。

今日の一曲は、もちろんこの曲。「若者のすべて」です。