Tuesday 27 March 2012

第8回 インターネット音楽祭 (2005年12月8日)


自分の故郷、富士吉田を愛することで知られる 志村正彦君。
実は生前、フジファブリック フロントマンとしての雄姿を山梨で見せてくれたことは、数えるほどしかありませんでした。

2008年5月に行われた市民会館(富士五湖文化センター)でのライブDVDの中、「茜色の夕日」前のMCでご本人が言っている通り、「市民会館を普通のお客さんで満席にできる実力がつくまで、山梨でライブはしない。」と、堅い誓いをたてていたことが大きな理由でした。

あの凱旋ライブが大成功をおさめましたので、きっとこれから山梨でのライブにも出演してくれるようになるだろうと思っていた矢先に、志村君は突然神様の元へと旅立って行きました。

そんな中、第8回インターネット音楽祭(2005年12月8日)でFM FUJI賞を、フジファブリックが受賞したのを皆さんはご存知ですか。
詳しくは、こちらをご覧下さい。第8回インターネット音楽祭

FM FUJIは、山梨県を放送対象地域とするラジオ局です。
1988年8月8日8時8分に開局しました(漢数字の八が、富士山の形に似ているため、験担ぎです)。
当時の中高生にとっては、「イマドキの音楽を流してくれる山梨発のラジオ局!」という劇的な?印象で、バンドを組む学生たちには大人気でした。自分がリクエストした曲が流れたりすると大騒ぎして、翌日クラスで話題になるほどでした。
旧社屋は甲府市丸の内にあり、開局当時は私も友達と通りすがりを装い、見に行ったりしたのを憶えています。


インタビューの中で、志村君も「FM FUJIはずっと聴いていたので嬉しいです」と、コメントしていますね。私たちと似た感覚で志村君も学生時代、このラジオ局を聴いていたのかもしれません。

「地元の山梨県でライブをやってみたいです!まだやってないんで」とも語っています。
自分に厳しい人でしたから、生半可なことでは故郷の地を踏むことはできないと思っていたのでしょう。近しい人からの厚意に甘え、上辺だけ「故郷に錦を飾る」のはいやだ。「本物」になって、帰ってくるんだ。
素晴らしいミュージシャンとして高評価されていたにも関わらず、結局2008年5月まで山梨でライブをすることはなかったのです。

「陽炎」に関する箇所で(フジファブリック Special Interview 「虹」)、「山梨にいた時間は、自分の中で輝かしいもので、知り合いのミュージシャンなんかで『あの頃に戻りたくない』と言っている人もいるけど、僕は戻りたくってしょうがない」と言っています。彼の心の中で、富士吉田はかけがえのない大切な場所だったのだと思います。

私が地元ファンとして一番残念だと思っていることは、あれだけ故郷を愛した志村君に、山梨の私たちは何一つ大したことはしてあげられなかったということです。ただただそれが、悔やまれます。
ですからこのFM FUJI賞を志村君が受賞したという記事を見て、とにかく嬉しかった。私は直接何も関わっていないけれど、少しだけ「山梨」が恩返しできたような気がして、勝手に嬉しかったです。

そんな記事です。
今日の一曲は、久々に「茜色の夕日」です。
フジファブリックの名曲です。

Friday 23 March 2012

夜明けのBEAT 英訳完成



シングル曲に引き続き、「夜明けのBEAT」の英訳も完成致しました。(ブログページ右側 「歌詞 Lyrics」をご参照下さい。)

外国で「モテキ」(英語タイトル'Love Strrikes!')を観て、フジファブリックの音楽に興味を持ってくれる方々の目にとまってくれたらいいな、と思います。

今日は偶然にも、「モテキ」DVDの発売日だそうですね。日本に住む外国人の方々もぜひどうぞ。

都会にいる青年がもつ、言葉にはできない鬱々としたものが伝わってくる曲。それでいて、疾走するビートと、粘りを帯びて響くリフのせいか、女性の私たちが聴いても決して嫌な気分にはならない不思議な曲です。
あの志村君の声が、曲の雰囲気を上手に引き出していて、まさにフジファブリックの真骨頂。
多面的なフジファブリックの魅力が、存分に表現された曲です。

私は「モテキ」の原作を読んだこともなく、映画もドラマも観ていないので偉そうなことは言えませんが、きっとよくストーリーに合っているのでしょう。監督が「志村君、こんなにいい曲を遺してくれてありがとう。」と、コメントしていたのを憶えています。
ぜひ原作を読み、映画を観て、フジファブリックの晴れ姿をこの目で見てみたいと思います。

今日の一曲はもちろんこの曲、「夜明けのBEAT」です。
志村君が最後まで仕上げて、歌入れまでしたバージョン、聴いてみたかったなぁ・・・。


Tuesday 20 March 2012

シングル全11曲 歌詞の英訳  終了!



フジファブリック シングル 2004-2009 全11曲、歌詞の英訳が終了致しました。(「銀河」「蒼い鳥」「パッション・フルーツ」を、アップしました)
予定よりも大幅に遅れてしまいましたが、やっとひとつの山を越えた気分です。

昨年12月に開催された「志村正彦展」ではたくさんの方とのご縁に恵まれ、ファンの方々と直接お話させていただく機会も多かったのですが、一番多く訊かれた質問が歌詞の英訳に関するものでした。

「英訳の際、どのような点に気をつけていますか。」
「一番苦労する点は、なんですか。」
「外国人が英訳された歌詞を読んだとき、日本人の私たちが読んだものと同じような印象を抱くものですか。」
「ほかの英訳と比べて、フジファブリックの歌詞の英訳は難しいですか。」

などなど。



今日は「 シングル曲 歌詞英訳 完」の気持ちもこめて、歌詞を英訳する際に個人的に感じたことを書きたいと思います。

まず始めにお断りしておきたいことは、私はプロの翻訳家ではないということです。

このブログをご覧になっている多くのファンの方々と同様、フジファブリックと志村正彦さんが大好きで、「この素晴らしい音楽のお返しに、私は志村君に何ができるだろう。」と考え、思いついたのが歌詞の英訳でした。
ただそこには一つの大きな壁がありました。
私の母国語は日本語なので、英語を母国語とする人達が見たときに、果たしてそれが自然な英語であるかどうか。きちんと対訳になっているのか。自信がありませんでした。
幸いにも高校時代からの親友が、英語、フランス語、日本語を扱うプロの翻訳家として活動していて、監修してくれることとなり実現致しました。

いろいろな方とのご縁でこの英訳は可能になりました。感謝の気持ちでいっぱいです。

趣味の域を超えないものですが、私が手がけたフジファブリックの歌詞の英訳を含めて、このブログ内にあるものすべてを、志村正彦さんに捧げます。

志村君にして頂いたことに比べれば、その万分の一にもなりませんが、英語を解する外国人がフジファブリックの素晴らしい世界をより深く理解し、もっともっと多くの人達に志村君の遺してくれたものが伝わっていってくれればと、心から願っております。

さて、よく訊かれる質問について。


Q.「英訳の際、気をつけていることはなんですか」

「できるだけ忠実に、元の歌詞を翻訳すること」に尽きます。
翻訳する側が意訳しすぎるのは、フジファブリックの歌詞の場合、とても危険です。映画のせりふを翻訳するのとは違いますので、物語の前後や文脈から理解した自分なりの考えを投影し、自分の想像に沿って翻訳をすると「私の考える歌詞」になってしまうのです。

志村君は「聴き手によって、自分なりの歌詞の捉え方ができるように。」と、あえて限定的な言葉の使用を避けていました。ここにフジファブリックの歌詞の魅力があるからこそ、それを壊しては志村君の思いに反してしまいます。

ただ・・・この作業は非常に難しいです。
思ったよりもとっても困難なことでした。まず志村君は天才でしたから、凡才の私には思いも及ばない箇所が多々あり、どういう思いで書いたのかと本気で本人に訊きたいときがあります。
それは叶いませんから、自分なりに「柔軟な捉え方をできる」単語をできるだけ選びます。

もうひとつ、「銀河」などにも出来てくる擬音語、擬態語(オノマトペ)です。これはフジファブリック独特の魅力ですから、単語選びには監修の親友と二人で、熟慮に熟慮を重ねます。

Q.「一番苦労する点はなんですか」

これは前の質問の答えと重複しますが、「聴き手に、自分なりの歌詞の捉え方をしてもらう」ような翻訳をするという点に、一番苦労します。
どうしても私自身の経験や思い出を通して、歌詞の語る状況を想像します。それは当然のことで、普通に聞いている分にはなんら問題はありませんが、過剰な想像力は翻訳の作業の妨げになり、独りよがりの歌詞の解釈につながっていきます。

翻訳するときは、できるだけ志村君の書いている歌詞にでてくる単語に忠実に。私の考える曲の文化的背景などは、ブログの記事として書いています。



Q.「外国人が英訳された歌詞を読んだとき、日本人の私たちが読んだものと同じような印象を抱くものですか。」

どうでしょうか。
正直なところ、私もよくわかりません。

ただ「夕日を見ると、郷愁の念にかられる」「夏の終わりの花火を見た後の、なんともいえない寂しさ」は、日本人独特の感覚なので、よほど日本文化への造詣が深くない限り、なかなか歌詞を読んだだけでは伝わらないと思います。
ブログの記事では、そのようなフジファブリックの歌詞に出てくる日本文化独特の感覚を、説明しています。特に四季盤など季節感溢れる曲の数々は、日本人独特の感性が盛り込まれているため、季節のはっきりしない国の人達には伝わりにくいと思います。

Q.「ほかの英訳と比べて、フジファブリックの歌詞の英訳は難しいですか。」

はい、とっても難しいです(笑)。
私が今まで英訳した文書の中で、トップ3に入ります。
詩の翻訳は元来難しいものなのですが、天才志村正彦の書く歌詞は、謎に満ちている箇所も多く、言葉遊びなどを含め、翻訳は困難を極めます。
でもその作業はとても充実していて、なによりも
「このブログのおかげで、フジファブリックの歌詞の魅力を理解できた」
「フジファブリックが大好きになりました」
と外国の方に言っていただく時ほど、嬉しいことはありません。

今から世界が志村君の価値に気付くと、私は信じています。


今日は私事ばかりの記事になってしまって、ちょっと反省しています。

ツイッターで映画「モテキ」が、アメリカ・ニューヨークで公開されるという情報をみました。詳細は不明ですが、「Love Strikes!」という題名になるそうです。確かに外国人にとって、「Moteki」よりはキャッチーかもしれません。(情報提供して下さったKさん、ありがとうございました)

オープニングテーマ曲「夜明けのビート」とフジファブリックも、注目されるようになること必然です!翻訳、がんばらなくては・・・。

富士山の麓から 世界へ響け!フジファブリック!!

今日の一曲は、「夜明けのビート」です。こうしてこれからも、志村正彦君のファンは増え続けていくのです。

Thursday 15 March 2012

山梨桃・桜開花情報


一雨ごとに、春めいてくる季節となりました。
長い冬が終わり、春のそよ風の中で眺める花々には、特別な思いがあります。

昨年は、「志村正彦展」が開催されたこともあり、冬の富士吉田にいらっしゃったファンも多かったと思いますが、富士山麓固有の桜「フジザクラ」が咲き乱れる季節も、独特の味わいがありますので、今日はご紹介したいと思います。

昨年も記事としてとりあげましたが(2011年5月5日)、「フジザクラ」は山梨県の県花であり、富士吉田市の市花でもあります。それほど山梨県民にとっては特別な花です。
可憐な花で、花弁の素朴な色と花形にその魅力があふれています。

毎年4月中旬頃に見頃を迎えますが、今年は雪が多かったせいで全国的に桜の開花が例年より遅くなるといわれています。
もし桜の見頃に合わせて富士吉田への小旅行を計画なさっていたら、こちらのサイトが便利ですので、ご利用下さい。

2012桃・桜開花情報 富士の国やまなし観光ネット 山梨県公式観光情報

富士吉田市に限らず、近隣地域、また山梨県全域の桜開花情報を紹介してくれる他、桃の開花情報も見られます。
山梨県は日本一の桃の産地ですので、春になると甲府盆地はピンクのじゅうたんを敷き詰めたようになります。

「ソメイヨシノよりも1週間ほど後に桃は開花する」というのが、山梨県民の「常識」(?)なのですが、最近は温暖化のせいか、ほぼ同時に咲くことも多いです。

富士吉田から車で30分程で、桃の花も楽しめます。

ちょうど時期が合えば、フジザクラ、ソメイヨシノ、桃の花を同時に見られて、山梨花三昧の旅が出来るかもしれません!

新倉山浅間神社(忠霊塔)の桜は、毎年見事です。
「富士山」「桜」「五重塔」の組み合わせは、日本人でも心を揺さぶられます。
今年の特別寒かった冬の後だからこそ、桜の美しさも特別でしょうね。一度いらしてみてください。

今日の一曲は、「花」です。
「つぼみ開こうか迷う花」「花のように儚くて色褪せてゆく」
富士吉田の「花」をみて、ぜひ志村君が伝えたかった何かを、肌で感じてみてください。


Friday 9 March 2012

Cactus Record (Translation of the post on 29th Feb 2012)



Hello, everyone!
It's been quite some time since the last post was up.
It is almost reaching the mid-summer in Thailand, which is the hottest time of the year. Beautiful Bougainvillea flowers, the sound of cicadas, mangos and durians in market... Summer heat is here now in Bangkok!



Today's song is 'Cactus Record', the 8th song in Fujifabric's first album, "Fujifabric".
This is one of my favourite songs of all, and I still remember  this song stroke me so much when I heard it for the first time.
The song reminds us old times...



As I am not a music profession, it is probably more like 'feeling' rather than consolidated fact, but the sound of key boards - the piano and the organ - make us feel 'old days'.

This type of the sound? is also used in 'Kagero' (' The Shimmer of Heat') so effectively, and a great skill must be required to make the sound pleasant without boredom and disgust.

In the book, 'FAB BOOK' (available in Amazon Japan), Shimura-kun says, "I was pleased with the main melody, so I was concerned with how the music should be led towards the main part.". The rhythm gradually gets faster and faster towards the main melody, and it becomes 'jimping beat' (Shimura explains in the band score).
After that, the rhythm goes back to the normal calm 8 beat, exactly like "tick-tick-tuck".
The way of returning to the original rhythm is so Fujifabric-like. It flows back so naturally.



Thanks to the effect of 'tick-tick-tuck' rhythm and 'jumping beat', the lyrics makes us imagine the scene clearly at the last part.

Even I am a layman in music, 'Cactus Record' is that kind of music which gives such an impression to me.

Because Shimura-kun always avoided to use the words which fix the meaning and the scene in the lyrics in order to allow each listener to understand the song in his/her own way, I refuse to do so, too. It is not my intention to force my interpretation of the lyrics to Fujifabric fans abroad, but please allow me to add an explanatory note here - that is, there are many words used here and there in the lyrics of 'Cactus Record' which imply foreign atmosphere of old days.

First of all, the title of the song, 'Cactus Record'.

Cactus was brought into Japan in the late 16th century from America continent by European people. As it is not indigenous plant, Japanese people feel 'foreign' even now.

Same as above, the words, 'record', 'clock', 'bossanova', 'jazz', 'jigsaw puzzle' also make Japanese feel 'old' 'foreign' much.

Today's song is 'Cactus Record'.
Please enjoy!!