前回から引き続き、「水飴と綿飴」(2nd album "FAB FOX")です。
それまで全ての曲の作詞作曲を手がけてきたのは志村正彦君でしたが、まず山内総一郎くんが作曲をし、その音に合わせて歌詞を志村君が書くという、初めてのパターンで作られたのがこの曲です。
音楽と歌詞が絶妙にマッチしていて、「フジファブリックらしさがよくでている曲のひとつだなぁ。」と、個人的には思っています。
今回は日本のお祭りについて、詳しくみてみましょう。
「まつり」という言葉は「祀る」の名詞形で、本来は神を祀ること、またはその儀式を指すものです。最近では宗教への関心の薄れなどから、祭祀に伴う賑やかな行事の方のみについて「祭り」と認識されることのほうが多く、一般的には元から祭祀と関係なく行われる賑やかな催事、イベントについても「祭り」と呼んでいます。
季節は特に決まっていませんが、七夕、お盆など、夏は一番お祭りの多い季節です。
日本の縁日では、多くの露店(屋台)が並びます。昼のお祭りも楽しいですが、屋台の電飾が目を引く夜は、独特の雰囲気があります。
並ぶ屋台は、主に子供たちの好きな食べ物やおもちゃを売ります。水飴、綿飴、べっこう飴、クレープ、カキ氷、やきそば、たこ焼き、ぽっぽ焼き、焼きとうもろこし、スーパーボールすくい、金魚すくい、ヨーヨー、お面、光るおもちゃなど。
最近ではあまり見かけなくなりましたが、一昔前はひよこ、亀、やどかりなども売っていました。
明治時代、お寺のお祭りでは鳴き声鑑賞用の虫たちが小さな竹籠に入れて売られていたと、小泉八雲が書いていますから、屋台で売られるものは時代と共に変化しているようです。(「虫の祭り」に関するこちらの記事をどうぞ)
その中で綿飴は人気の屋台のひとつです。
日本語で「綿飴」は、「綿菓子」とも呼ばれます。
外国でも比較的普通に食べられている綿飴ですが、日本の綿飴の特徴は「袋に入れて売られていること」です。
子供たちの好きなキャラクター(アニメマンガ・ヒーローものなど)の絵が描いてある、30センチほどの大きさの袋の中に入れて売られています。
外国(イギリスやタイ)では、お客さんが買いにくるとその場で作りそのまま手渡しでくれたりもしますが、日本の屋台ではすでに袋詰めにした綿飴が、屋台の軒先にゴムで結わえ付けて売られています。
たくさんのお客さんが一度に来てもいいように、備えてあるのでしょう。
また、日本で売られている綿飴は大きめで、割り箸に巻きつけてあります。(タイでは、ストローもある)
普通は一種類のプレーン(砂糖味)ですが、最近はイチゴ、オレンジなどもあるようです。
一袋、500円ぐらいです。
また日本では、「綿菓子マシーン」といって、家庭で簡単に作れる綿菓子製造機がおもちゃ屋さんで売っていて、今話題の商品です。
もう一つ、この歌詞を英訳するときに重要視した単語が「浴衣」です。
安土桃山時代頃から湯上りに着て肌の水分を吸い取らせる目的で広く用いられるようになり、これが江戸時代に入って庶民の愛好する衣類の一種となりました。
「ゆかた」の名は、「ゆかたびら」の略称です。
生地が薄く開放的で風通しがよく、長襦袢なども着用しないことから、夏場の外出や湯上り、あるいは寝巻きとして着用されます。
現代の日本の生活で浴衣が多く着用されるのは、主に花火大会・縁日・盆踊りなどの夏の行事です。デザインもモダンに変わりお値段も手頃になったことから(外国人用に、成田空港内のユニクロでは一年中浴衣を販売しています)、ちょっとかわいい外出着として、日本人の若い女の子たちがこぞって来ています。
男の子より、女の子の着用率が断然高いのも特徴です。
いつもと違う自分を男の子に見て欲しい、女心からでしょうか。
では、歌詞を詳しくみてみましょう。
「街の灯り」「流れ星」から、時間帯は夜であることがわかります。
そして「浴衣」を着ていることから、季節は夏。
夏の夜、祭りの帰り道でのひとこまです。
まず、量販店などで売っている振り回すと「ヒューヒュー」鳴るホースの音色から曲が始まります。
山梨では、夏でも夜になると山から結構強い風が吹いてきて涼しいのですが、この曲を初めて聴いたとき、あの夏の夜の風を瞬時に思い出しました。
「とろけるような街の灯りの」
「魔法に任せた祭りの帰り」
いつも見慣れている風景が、お祭りの夜は突然様変わりしていつもとはまったく違う街になり、宵の闇の中できらきら光る電飾といつもこんな時間には考えられないような人混みに、街一帯が魔法にかかっているような気分になります。
特に田舎のお祭りはそのギャップが大きく、お祭りの後、横道に入ると今までの人混みと灯りはうそのようで、夜のしじまの中、いつもの道が続いています。
そんな祭りの帰り道、一緒に魔法にかかっていた「君」は、「流れ星をみつけて微笑ん」でいる。
祭りで買った僕の水飴と君の綿飴。
「ませた君の浴衣に ませたこと思っていた」
浴衣を着てちょっとませて色っぽく見える年頃。
15,6歳でしょうか。
その「君」に「love you」といつもは言わないような言葉を言ってみたものの、ちょっと照れくさくて「嘘だよ」「綿飴ちょうだい」とごまかす僕。
志村君ワールドですね。
この歌詞、なかなかかける人はいないでしょう。
英訳もよろしかったらあわせてどうぞ。
次回は、下吉田のお祭りを見ていきたいと思います。
志村君が幼い頃から行っていたであろう、下吉田界隈のお祭りです。
「水飴と綿飴」
No comments:
Post a Comment