大忙しのお正月休みも終わり、今日から通常の生活に戻りました。
久々のブログ更新です。
タイでは日本と同時期のこのお正月に加え、2月の旧正月(陰暦のお正月のため、毎年元旦になる日は前後します。タイ華僑が祝います)、4月のタイ正月・ソンクラーンと年に3回お正月を祝います。
それぞれ祝い方が違うのですが、元々タイの文化にあった訳ではなく、「世界の主要国がみんなお休みになってしまって仕事にならないから、自分たちもお休みにしてしまおう。」という理由で休みになるこのお正月は、あまり盛り上がりません。
ちなみに、バンコク市内はいまだにクリスマスツリーやイルミネーションが溢れていて、いまだクリスマス色が強く、そういう点ではイギリスに近いのかもしれません。(日本はクリスマスの飾りを12月25日を過ぎると早々片付けお正月に備えますが、イギリスでは1月6日までは飾っておいてもいいことになっています。その日を過ぎるのは縁起が悪いのですが、それまでは街中がクリスマスのままです)タイは文化的にもイギリスの影響が強いのと、すぐにお正月が来るわけではないから、というのが大きな理由でしょうか。
「一年に3回もお正月休みがある国民も珍しいのでは?」と、毎年のように思いつつ・・・いよいよ2011年始まりです!
今年最初のトピックは、「水飴と綿飴」です。
この曲は夏の夜、縁日からの帰り道を描いた曲です。(日本の皆さん、季節外れでごめんなさい。)
外国に住むファンの皆さんのために、もう少し詳しくみてみましょう。
まず「水飴」です。
古く中国から伝来したといわれ、「日本書紀」に飴を作る様子が記述されていることから、西暦720年前には日本の地に存在していたと思われます。
でんぷんを酸や酵素で糖化(砂糖に変えること)することにより製造されます。普通にスーパーなどで売られている無色透明の水飴は、でんぷんに酸を加え、加水分解して作られたものですが、昔からの製法で麦芽から作られる水飴は原料由来のミネラル分が含まれるため、独特の風味があり鮮やかな琥珀色をしています。
これが日本語でいう「飴色」です。
米・麦芽などから作られる水飴は穀物特有の甘味に優れ、栄養価も高いことから、乳飲み子を抱えながらも乳が出ずに困っているお母さんたちが、母乳代わりに赤ちゃんにあげたという話が多く伝えられています。
小泉八雲の話の中に、「水飴を買う女」という話がありますが、似たような話が日本各地にあります。
昔、飴屋がありました。
飴屋には毎夜、夜更けになると一人の女が水飴を買いにやって来ます。
その女が大層顔色も悪く痩せているので、飴屋の主人が心配して尋ねても、女は何も答えずただ黙っています。
とうとうある晩、どんな事情があるのだろうと飴屋の主人が女の後ろをつけていくと、墓地の中に入って行ったので、飴屋は恐ろしくなって逃げ帰ってきてしまいました。
次の晩、また女は飴屋にやってきましたが、その日は水飴を買わずに一緒に来るようにと手招きをします。飴屋は友人と一緒に女について歩いていくと、墓地の中に入って行き、ある墓の前に近づくとふっと姿を消してしまいました。
驚いて見ていると、墓の下から赤ん坊の声がします。
墓を開けてみると、そこには毎晩水飴を買いに来た女の亡骸が横たわっており、そのかたわらには生まれたばかりの赤ん坊がいました。
赤ん坊のそばには、水飴の入った小さなお椀がありました。
貧困にあえぐ時代に、水飴は赤ちゃん、妊産婦、病人や年寄りの大切な栄養源でした。
一休さんのとんち話にも水飴の話があります。
一休さんが和尚さんの留守中、和尚さんが大切にとっておいた水飴を仲間の小坊主さんたちと全部食べてしまいます。帰ってきた和尚さんが怒って一休さんたちを呼ぶと、一休さんは泣きながら「和尚さんはいつもこれは子供が食べると毒だと言っていたでしょう。私達、悪いことをしてしまったのでいっそ死んでしまおうと思い、この毒を全部食べたのですが、ぜんぜん死ねないのです。」といったという話。
(ちなみに、タイでは一休さんのアニメがテレビで長い間放映され、いまだに大人気です。)
子供たちの大好きな紙芝居でも、水飴は人気商品です。
紙芝居のおじさんに小銭を渡すと、おじさんが割り箸で水飴を缶や瓶からすくってくれます。紙芝居を見ながら、それを二本の割り箸でねっているとだんだん色が白濁してきて、最後もったいなさそうにそれを食べる、というのがお決まりだった方、多いのではないでしょうか。
日本の子供の楽しみのひとつです。
また、縁日でも水飴は売られています。
フジファブリックの「水飴と綿飴」に歌われているのは、この縁日の水飴です。
明日は縁日の様子や、水飴の屋台のことを詳しくみてみようと思います。
志村君が伝えようとした夏の夜の幻想的な縁日の様子、その帰り道の魔法がかった雰囲気を、お伝えできたらいいな、と思います。
フジファブリック 「水飴と綿飴」
No comments:
Post a Comment