Monday, 22 November 2010

雪代とMUSIC

タイでは昨日、ロイカトーン祭りで国中の水辺(川、池、湖)にカトーンと呼ばれる灯篭が流されました。
起源についてはいろいろな説がありますが、一般的には「水の恵みを与えてくれる水の神様への感謝と、川・池・湖などの水を汚したことへの謝罪。また一年間たまった穢れや厄を水に流す」という祈りをこめて、バナナの葉で蓮の花をかたどった灯篭を流します。お線香、花、ロウソクのほかに、「自分の」灯篭であることを水神様に分かっていただくため、髪の毛や爪、コインも灯篭の上において流します。

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(自分の身代わりに髪の毛や爪を入れるという発想、ちょっと日本の陰陽道に、共通している感じですね。)
陰暦12月の満月の夜、悠々と流れる水の上、満月の月光に照らされて浮かぶ灯篭は幻想的です。

今年タイでは、洪水の被害で100人を超す人が亡くなりましたが、日本各地でも一昔前までは多くの犠牲者が出る天災の一つでした。

私の故郷、山梨県でも武田信玄が、甲府盆地にある釜無川の氾濫を抑えるために信玄堤を作った話などは聞いていましたが、富士吉田市で「雪代」(ゆきしろ。山の雪が溶けてできる雪解け水のこと)による洪水が、多大なる被害を出し、地元民は雪解けの季節になると洪水にならないようにと祈願していたいうことを、最近初めて知りました。

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雪代が記録として残されている最古のものは、1545年(天文14年)2月11日山梨県富士河口湖町小立にある妙法寺の住職が書き残したものといわれています。1834年(天保5年)4月8日、富士吉田でも大規模な雪代が起こり、富士山8合目の雪崩から始まった土石流がふもとの人家や田畑を一気に押し流したという記録が残っています。

最近では、1961年(昭和36年)3月25日に降った大雪が気温の上昇に伴い一気に溶け、同年4月5日大規模な雪代となり、富士吉田を襲い118戸が浸水しました。

富士山には、富士山を源流とする川は存在しません。
その代わり、毎年5月から6月にかけて、山の積雪がとけて雪代となり幻の川が出現します。雪代は春のみなぎる力の源となって麓の重要な水資源となりますが(こちらの記事をご参照ください)、木や土が少ない富士山では急激な雪解けが鉄砲水のようになることがあるのです。
富士山の恩恵と怖さの両方と生活を共にする、富士山麓の暮らしです。

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氷解したことを「雪解け」ともいいますが、日本語では仲直りや和解といった意味も含みます。全てを水に流して、新しい秩序や絆を作っていこうという気持ちは、冬を乗り越え心新たにする春だからこそより強くなるのではないでしょうか。
特に寒冷地の富士吉田の人たちは、春を待ち望む気持ちが一層強いと思います。

「心気一転 何もかも春は 転んで起き上がる」
5th アルバムの一曲目「MUSIC」の出だしです。
新しい生活が始まる春。
今降り積もる雪が溶ける頃、また新しい春が始まります。

タイのロイカトーンの灯篭を見て、嫌なことをぜんぶ水に流して心新たに心気一転生活を始めたい気持ちはアジア人共通かな、と思いました。

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