Wednesday, 29 September 2010

雨のマーチ 

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日本では急に涼しさを通り越して寒くなったそうで、美しい四季を堪能できる反面、体調管理も衣替えも大忙しの日本人。
風邪にご注意ください。

こちらバンコクでは、乾季と雨季の狭間で毎日2,3回、地響きを伴う雷とUFO襲来?を思わせる閃光と、バケツをひっくり返したような雨雨雨。
バンコク郊外の我が家では、雨の降る前に必ず鳴き始める蛙たちの声で他の音が聞こえなくなります(笑)。
そして雨が上がると、今度は蛙と虫たちの大合唱。
夏と秋が混在するような庭になっております。


タイの雨季に降る雨の様子は、三島由紀夫が「暁の寺」の出だしでこのように表現しています。

「空気はいつも軽い雨滴を含んでいた。強い日ざしの中にも、しばしば雨滴が舞っていた。しかし空のどこかには必ず青空が覗かれ、雲はともすると日のまわりに厚く、雲の外周の空は燦爛とかがやいていた。驟雨の来る前の空の深い予兆にみちた灰黒色は凄かった。その暗示を孕んだ黒は、いちめんの緑のところどころに椰子の木を点綴した低い街並を覆うた。」

日本の夕立に近いものでしょうか。
しかし、タイ人は大人も子供も日本人には奇異に思えるほど雷を怖がりますから、熱帯自然のパワーは凄まじいものがあります。


フジファブリック、「雨のマーチ」を見てみましょう。

この「しとしと降る雨」。
夏の雨を除いては、この「しとしと降る」種類の雨が日本では多いのではないでしょうか。

日本語は、雨に関する文字や言葉が世界一豊富といわれる言語です。(ビールの宣伝みたいになってきたな・・・)
雨のスタイルによって、小降り、本降り、通り雨、にわか雨、小雨、長雨、大雨と様々です。
雨粒によって、霧雨を小糠雨、どしゃ降りを篠突く雨、また降る季節によっても、春雨、五月雨、梅雨、秋雨、液雨(冬の初めの時雨)などまだまだ沢山の名称があります。

天気予報で使われるだけでなく、文化・文学・音楽の世界でも大きな役割を担っています。
日本人の繊細な感性の賜物ですが、それだけ四季を通して雨が降る気候であるということも大きいと思います。



米を主食として食べる日本人にとって、水田地帯に降る雨は恵みの雨です。
雨なくして稲は育ちません。
雨の少ない時は雨乞いの儀式が行われました。
「かっぱの雨乞い」など、各地に雨乞いの昔話が残っています。

ちなみにタイでも、雨乞いの儀式があります。
雨雲と同じ灰色の「シーサワーッ」という特別な種類の猫が、雨乞いの主役に使われます。
小さな御輿に猫を乗せ田んぼを練り歩き、雨の神様に祈ると雨が降るという信仰があります。

雨乞いは、稲作地帯特有の風習かもしれません。


次に「傘が咲いたよ しぼんだの景色」。

実家に帰る度に、傘の種類が豊富で驚くのですが、日本には独特の傘の歴史があります。
古墳時代(550年頃)に「日傘」として、渡来人が中国大陸から持ち込みましたが、雨の多い日本では次第に「雨傘」として改良され、「和傘」になりました。
「からかさおばけ」で有名なあの「唐傘」は中国から持ち込まれたためという説が有力です。

その後、利便性を兼ね備えた洋傘が一般的に使われるようになりました。



霧の都ロンドンでは、霧がでるわけではなく霧雨が一年中降る気候ですが、傘をさしている人をほとんど見かけることがありません。
イギリスの紳士たちは、傘を傘屋に注文するほど傘にこだわりますが、ささずにステッキ代わりに持ち歩くのが紳士のたしなみとされています。
その文化が一般大衆に浸透したのか、はたまたしょっちゅう雨が降るため傘を持ち歩くのが面倒くさいのか、イギリス人はかなりの大雨になっても傘をさすことがないのです。

同じ気候区分にあるフランス、ドイツはどうなんでしょうか。
カナダのイギリスの影響が濃い地域でも、傘をささないでしょうか。


傘が花のように咲いたりしぼんだりする。
雨の多い日本の景色です。

今日は雨季の雨の中、こんなことを思いました。
フジファブリック「雨のマーチ」です。


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