Thursday, 23 September 2010

お月様 



フジファブリックの独特の歌詞世界では、月は欠かせない存在です。
「お月様のっぺらぼう」「打ち上げ花火」「同じ月」「Anthem」などすぐに思い当たるものだけでも数曲あります。


昨夜は十五夜でしたので、今日は「月」についてです。


この写真は、昨夜22時ごろ我が家の庭で撮影したものですが、月の周りに雷雲がもやもやと出てきているのがご覧になれますか。
水蒸気を含んだ空気のせいで、月の周りにはぼんやりと虹色の輪ができていました。

雨季真っ最中のバンコクでは、稲光と満月が同時に見える賑やかな空でした。

華僑の多いタイ、この時期になると月餅が各店先に並び自慢の味を競い合うのですが、タイらしいのが「ドリアン」味。
和菓子の国からきた日本人には、月餅にあの強烈な臭いのするドリアン(ちょっと猫のおしっこのような臭い・・・)を取り合わせようという発想がないためちょっと抵抗がありますが、タイ人は結構おいしそうに食べています。

不思議なことに、ドリアン月餅は浸透したものの、月見の習慣はタイ人の間では全く定着したとは思えません。

「月を静かに眺めて愛でる」
私たちにとって普通のことですが、どうも東アジア特有の風習のようです。

中国本土や台湾では日本以上に盛大に祝われ、十五夜の日は祝日となっています。
(ちなみにタイではお休みではありません)。


日本のお月見の習慣も、古くは中国から伝わったとされ、すっかり日本人の暮らしの中に定着しました。
平安時代に貴族が月を愛でる優雅な姿は、忙しい現代を生きる私たちも憧れます。


「十五夜」は「仲秋の名月」とも呼ばれ、毎年旧暦の8月15日に行われます。
ちょうど秋の収穫時期と重なったためか、豊作を願い感謝するという意味もこめて、お月見台にはすすき、月見団子、里芋、栗など秋を彩る品々が供えられます。

私の実家でも毎年、家の中で月が一番きれいにみえる場所にお月見台がおかれ、家族で祝っていました。



月にまつわる話といえば、やはり「かぐや姫」を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
日本最古の物語といわれ、製作年、作者共に不詳ですが、日本人なら子供から大人まで誰もが知っているお話です。

竹取物語に似た話が東アジア諸国で見受けられますが、やはり「月を眺めて愛でる」という風習がある地方に限るようです。(チベットには「竹取物語」にそっくりの民話があり、こちらが元祖ではないか、という説もあります。)

フジファブリックの「お月様のっぺらぼう」。
この曲の中で、夜の「月」と昼の「虹」(太陽光がないとありえないため)のコントラストがとても印象的です。

夜一人旅をしながらのっぺらぼうのお月様を見たり、昼の虹をみたり・・・。
幻想的な世界ですね。

月はクレーターの影がくっきりと見え、「どこの部分がうさぎの形なんだろう。」と見入ってしまう夜もあれば、ただ平面的に白っぽく光っている夜もあります。
のっぺらぼうのお月様、さすが天才詩人の志村君です。


志村君の「月」に関する個人的な思い出がどんなものだったから分からないのですが、やはり私たち日本人のDNAの中には何千年の時をかけて先祖から伝わる「月」に対する特別な思いが情報として入っているのではないでしょうか。

太古の昔、闇夜の中で唯一の明るさである月の光が、虫、魚、鳥、獣、人間、木や草を包み込み、及ぼす不思議な魅力。
その後、「月見」という固有の文化が日本人の心の中に確立されてきてから、今日まで。

フジファブリックの曲の中にある「月」は、私たちを不思議な世界へと誘います。
フジファブリック「お月様のっぺらぼう」
お聴きください。



追記
山梨の方、曲中の「俺」のイントネーションに山梨を感じてほろっとしませんか?
私だけでしょうか・・・?

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