行楽日和のいいお天気を、フジファブリックファンの皆様楽しんでいらっしゃいますか。
金木犀開花情報をお送りいただいて、ありがとうございます。
志村君のふるさと、富士吉田でも、金木犀が今満開だそうです。
さて、このブログは、「世界に響け!フジファブリック!!」が主要目的なので、基本的に他のミュージシャンの音楽を紹介する機会はあまりないのですが、「甲州弁って、どういう響きなんですか。」「富士吉田に行ったけど、ネイティブな甲州弁?が聞けなかった。聞いてみたいのですが、どこで聞けますか。」などのお問い合わせが多いので、今日は「甲州弁の響き」について書きたいと思います。
以前「甲州弁サイト ウィキぺズラ」を記事で取り上げたことがありました。とても興味深いサイトですが、当然文字だとイントネーションはうまく伝わりません。
甲州弁の響きは、「強い」「荒っぽい」感じでしょうか。山梨県人同士が話をしているのを他地方の人が聞くと、「けんかをしている。」と聞こえるようです。山梨県の言葉は、語頭にアクセントがくる言葉が多いのと、印象的な接頭語・接尾語が頻繁につく、というのが原因と思われます。
でも九州や名古屋のフジファブリックファンに「優しい響き」といわれて、ちょっと目からうろこ・・・。志村君のあの雰囲気が、好印象を与えているような気もしますが。
今日は生?の響きを聞くために「甲州弁ラップ だっちもねえこんいっちょし」をご紹介しましょう。
ラップなので、抑揚があいまいといえばあいまいですが、とりあえず聞いてみてください。
この曲を歌っているのは原田喜照さん、昭和41年生まれ、都留市出身のミュージシャンです。
94年11月「山梨県を考えるパフォーマンス大会」にて「だっちもねえこんいっしょし」でグランプリを受賞。その後、テレビ出演などで反響を呼び、95年3月には「甲州弁3部作」CD「だっちもねえこんいっちょし」を発売。県内を中心に4千枚を越えるセールスを記録しました。
甲州弁(こうしゅうべん)は山梨県で話される方言ですが、山梨県内でも御坂山地と大菩薩嶺を境に東西で大きく方言が異なっており、西側の国中地方(甲府盆地)では東海東山方言の一種が、東側の郡内地方(富士吉田、上野原、大月など)では西関東方言の一種(郡内弁)が話されています。
原田さんは出身が都留市なので、郡内、富士吉田市と同じ地方です。
ただこの方甲府中心に活動なさっているそうで、これも甲州弁国中方言だと思います。郡内の甲州弁は微妙にちょっと違うのですが、そうはいっても、郡内の人にも充分わかる言葉です。
さて、山梨県人は別として、他地方の方はこの曲の歌詞が何パーセント位理解できるのでしょう。
100パーセント分かって怖い、純粋山梨県人の私も知りたいところです(笑)。もしリクエストがあれば、対訳いたします。
山梨大学医学部付属病院では、他県出身の医師や看護婦には「甲州弁マニュアル」が配布されます。うそでも冗談でもありません。私は3人からこの証言をえましたので、本当です。
「腕がこそっぺえ。」(「腕ががさがさしている。」)とか「ここんとこおもてぇ~出ると、ひどろっちくてよくみえん。」(「最近外へ出ると、まぶしくてよく見えない。」)「あげっぽい。」(「吐き気がする。」)などとお年寄りにいわれても、医者や看護婦にきちんと症状が伝わらないことが多いからです。
ちなみにこのラップ曲のタイトル「だっちもねえこんいっちょし」は、「くだらないこと(つまらないこと)言うな」という意味です。
「だっちもねえ」は「くだらない」、「いっちょ」の「ちょ」は否定形、英語でいう「not」です。最後の「し」は文を命令形にします。
志村君は私達地元の人間からみると、とってもとっても標準語が上手で、インタビューやMCを見た限りほとんど山梨の訛りはまったくないように思われます。もしかしたら、意味は分かるけど使わないという子だったかもしれません。
(山梨のような地方都市には結構そういう子供たちがいます。)
また郡内地方の人達のほうが、国中地方の人達より「標準語と甲州弁の使い分け」が上手だと個人的には思います。郡内ですと、地元の人達だけが集まる場だと甲州弁を話しますが、他地方の方がいると、「誰にでも通じる日本語」(言語学者が「正確な標準語」と判定するかどうかは別として)を話します。
それに反して、国中地方、私の経験ですと特に南アルプス市(旧中巨摩郡。山梨の南西部)や南巨摩郡富士川町界隈の人達は、自分たちで標準語を話していると単に自分ひとりで思っている人?が、結構の割合でいます。
フジファブリックファンが富士吉田にいらっしゃって、「甲州弁を聞かなかった。」と思うのはこんな背景かとも思います。
お国言葉は、その地方の文化であり歴史であります。それぞれの土地の気候や風俗に合わせて発展してきた、文化の結晶であります。
山梨の人間にとって甲州弁は、標準語では言い表すことのできない物事を表現できる、大切な言語なのです。
他の地に行った時、ふと耳に入るとなにより懐かしくほっとする気持ちを、地方出身者の方にはお分かりいただけるでしょうか。
「ふるさとの なまりなつかし停車場の 人ごみの中に そを聞きに行く」(ふるさとを遠く離れて生活していると、ふるさとのなまりが懐かしい。ふるさとからの列車が着く駅の人込みに中へ、それをわざわざ聞きにいったことだ。)という石川啄木の句がありますが、お国言葉とはそういうものなのです。
以前、山梨日日新聞に、「志村君が山梨県出身のミュージシャン達と東京で会った時、楽屋が甲州弁であふれて皆で盛り上がった。」という記事があったのを思い出しました。
志村日記でも、「めばちこ」(ものもらい)の話をしていましたね。
あんなに標準語が上手な志村君でも、甲州弁は忘れられない言葉だったのだと思います。
今日の一曲は、ミニアルバム「アラモルト」から「笑ってサヨナラ」です。ファンの中では根強い人気を誇りながらも、ライブではなかなか聴けなかった名曲です。
4 comments:
こんにちは!追い風アルファのroute85と申します。
先日はコメントをありがとうございました!
ぜひこちらからもリンクを貼らせていただこうと思い、今回ご挨拶に伺いました。事後になりましたが、ご確認いただければ幸いです!
ところでジャックラッセルさんは普段タイにお住まいなんですか?(まだ拝見できていない記事もあるので違いましたらすみません)
水害のニュースが流れているので心配ですが…ご無事をお祈りしてます。
route85さん、
初コメントありがとうございます!
こちらこそリンクを晴らせて頂き、ありがとうございました。
バンコクは50年に一度の大洪水で、じわじわと我が家の周りにも水が押し寄せきております・・・。
でも、実は明日から山梨に1週間ほど帰省いたしますので、ちょっとほっと一息。
また、山梨で記事を書けたらと思います。
今日は私のブログに来てくださって、ありがとうございました。
北杜に住んで十年になります。高根町長澤という清里より一歩手前の農村部で、おばちゃんたちはとうぜん甲州弁です。去年、ワンシーズン、仙人小屋というきのこ、イノシシ鹿、山菜を食べさせる山小屋でバイトして、大泉ネイティブの店主と長澤にヨメに来て50年のおばちゃんにはさまれて、甲州弁修業しました。
「んなもん、ぶちゃっちめえし!」「あわてっちょ!」などという短くもビシっと伝わる業務命令の飛び交う中、「だっちもねえこん いっちょし」だいぶ分かるようにはなったんですが、まだ全部は分からん!
ぜひ、対訳をお願いしたく、お願いします!
教えてくりょ〜
もちどめヨハナさん、
初コメントありがとうございます。
高根にいらしたのですね。貴重な?体験、ご苦労様でございました。フジファブリック 志村君の影響で、山梨にいらしたのですか。何がきっかけでも、こうして甲州弁に興味を持っていただいて、なんだか光栄です。
対訳、了解いたしました。近々、ぜひ記事にしてアップします!
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