Friday, 6 May 2011

ペダルとその歌詞

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前回から引き続いて、「ペダル」です。

ファンがひとりひとり、それぞれの思いで聴いて好きなポイントも人それぞれだと思いますが、私は個人的にこの曲の魅力は「次々に重なり合っていく楽器の音色」「コーラス」「繊細な風景・心理描写」だと思います。

まず曲の出だし。
「何かとてつもない曲が始まるんじゃないか」とリスナーに期待させるような、底知れぬワクワク感を、順々と重なり合って行く楽器で見事に表現しています。ジャンルとしてはロックですが、既成のロック概念を超え、魂にたまった汚いものをきれいに洗い流してくれるような気持ちになる曲はこんな風に始まります。

そして志村君のなんともいえない落ち着いた声で、歌詞が歌われていきます。

フジファブリックの歌詞にはよく「花」が登場するのですが、この曲にもだいだい色、ピンク色の花がでてきます。この咲いている花を見て「まぶしい」と感じ、そう自分が感じる感覚はやむをえないものなのかなぁ、と問いかけます。



「ペダル」の花にしても、「ないものねだり」にでてくる「帰り道に見つけた 路地裏で咲いていた」花にしても、庭先や道端で咲く「さもない」と一般的には思われている花が持つ魅力を、理解し愛でていたんだなと思います。
クリックすると新しいウィンドウで開きますそれは花のもつ「生命力」であったり、「飾らない美しさ」であったり、「根をはったら、そこから動けない植物の生態」であったり、「逃げることのできない運命を、淡々と受け入れ、そこに根をはり生きている姿」だったり、ひとそれぞれ考えることが違うわけですが、そこを「まぶしいと感じるなんて しょうがないのかい?」としたところに、フジファブリックらしさがでていると思います。
売るために大事に栽培され、切られてお花屋さんに並ぶ花にはない魅力を、たった2行でよく表現しているなと、思います。

このあと、バスドラムが初めて出てきます。

そして、「平凡な日々にも~」から一番目の「消えないでよ 消えないでよ」まで、いろいろな音色の楽器が次々と演奏に加わり美しく重なりあっていき、曲はクライマックス?に淡々と向かって行きます。フジファブリックの魅力はキーボードなしには語れませんが、「ペダル」の中でも実にさまざまなキーボードの音が聴こえます。何かをしながらのBGMとしてだけではなく、ぜひイヤーフォンで静かな場所で聴いてみて下さい。キーボードの音色の多様さだけではなく、曲の深みを構成する音色の重なり合い方に、志村君の努力と信念を感じました。

フジファブリックの曲に深みを加える「コーラス」も、忘れてはならないポイントです。

志村君が下吉田中学校時代に歌った合唱曲、「大地讃頌」を富士五湖文化センターやフジフジ富士Qで耳にした方も多いと思いますが、学生時代から慣れ親しんできた合唱という「微妙に違う人の声が何重にも重なり合って出す音」にバンドマンとして注目していたというのは、数々の曲を聴いて率直に感じます。

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「音楽とことば」(2009年3月25日発行)の中で、インタビュアーに「上空に線を描いた飛行機雲が 僕が向かう方向と垂直になった だんだんと線がかすんで曲線になった」という歌詞が、根っこにある文学的な要素と、心象風景を数値的に切り取る理系的要素が共存しているのが面白い」と指摘され、「音楽は、どうしても数学的だ。コードの積みかたとか、音階のスケールとか。でも、歌詞というのはそうじゃない。人が涙する瞬間って、わかんないんです。」と志村君は言っていました。

そういう意味では、コーラスは数学的に計算されて曲の中に組み込まれていますが、数値では言い表せないものを伝える歌詞のような役目もしているのかな、とも思いました。



歌詞については、外国のファンに自転車がいかに日本人にとって身近な乗り物であるかを補足説明いたします。

日本の自転車普及率は世界的に見ても非常に高く、保有台数は8,481万台(2000年)で、人口1.5人あたり1台にのぼります(Wikipedia参照)。
クリックすると新しいウィンドウで開きますこれは国際的に比較しても西欧で特に自転車利用が多いオランダ、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、スウェーデンに次ぐ水準です。アメリカ、中国、イギリス、フランス、イタリアといった国々を大幅に上回ります。西欧諸国が自動車やバスと同等の「車両」と言う認識であるのに対し、日本においては歩道を走行し限られた短距離の移動に利用する「歩行者の延長線上」という認識が一般にはなされています。
ですから日本では、中高生(大都市ではないところ)は通学に自転車を使うことがとても多く、身近な乗り物なのです。

そんな事情もあり、日本で一般的に使われている自転車は、欧米の街で見かけるマウンテンバイクのような前かがみで乗るようなタイプではなく、俗称「ママチャリ」といわれるもので、前には籠がつき後ろには荷台があるタイプのものです。「ペダル」で歌われている自転車がどのようなタイプのものかは定かではありませんが、皆さんどんなものを想像していらっしゃるのか興味があります。

では、「ペダル」お聴きください。

2 comments:

kimamamama said...

ジャックラッセルさん、こんにちは!

続けてのペダルの記事、ありがとうございます。
ペダルは私の最も好きな曲です。
あの躍動感、体が辺りの空気と一体になるような高揚感がたまりませんね。
それでいて、志村くんらしく?しんみりした感じ「もののあはれ」的な情感が根底にあるので何度聴いても飽きるどころか、さらにじわじわと味わえる曲ですよね。

フジザクラのこともお教えくださりありがとうございました^^
そちらは暑いようですね、くれぐれもご自愛くださいね。

Jack Russell in Bangkok said...

kimamamama さん、
こんばんは!ご無沙汰しております。

私もペダルが大好きで、目を閉じて聴くと空に向かって自分が飛び立っていく幻想にかられます。
技術面や音楽的センスなど、いろいろな要素がハイレベルだからこそできた曲だとは思うのですが、そんなことよりなんかもっと「違うもの」がこの曲には埋め込まれている気がしてなりません。

この曲の透明感が、志村君とダブります。

フジザクラの記事も、楽しんでいただけて嬉しいです。「マメザクラ」とも呼ばれる富士山麓でしか咲かないこの桜は、ソメイヨシノとは全然違う「かわいらしさ」があると思います。

我が家の庭に、「タイの桜」といわれる木を植えました。はたしてどんな花が咲くのでしょう。
日本の桜大好きの主人の案なのですが、日本人の私からみるとちょっと複雑な気分です。桜は日本で春に見るからいいと思うのですが・・・。

常夏の桜。
花が咲いたら、お知らせしますね。

こちらは毎日夕暮れ時になると、せみが鳴いています。一年で一番暑い季節です。

日本ではいい季節ですね。
山の木々にモショモショと若芽がでてきて、外にばかりいたくなります。
お体、大事になさってください。