作曲コーナーをすぎると、今度は絵画コーナーです。
フジファブリックメンバーの似顔絵つきメッセージ、紙でできた桜の花びらにうもれて笑っている志村君の写真、志村君の頭上にある富士山から日が昇るという構図が印象的な絵、オーストラリアのファンから国際便で送られてきた猫・富士山・ギターなど好きなものに囲まれている志村君の絵、などが展示されています。
「言葉にできないことを表現する」という点で、音楽も絵画も同じなのだと改めて実感。
衣食住が足りたからといって、人間は心豊かに暮らせるというものではありません。心の潤滑油として芸術を求めます。それは時に文学であり、絵画であり、音楽であります。
「音楽がなくてもいい人にはなりたくない」と、志村君は言っていました。
音楽の天才は、ファンからもらった絵や手紙を通じて、皆の気持ちを誰よりも敏感に感じてとってくれていたでしょう。そしてその大切さや温かさを、人一倍感じてくれていたのではと思うのです。
その隣には、山梨県立甲府西高等学校美術部員が出展した作品の数々が展示されています(学校案内は、山梨県立甲府西高等学校公式ホームページをご覧下さい)。現西高美術部顧問の赤池宏己先生は、かつて吉田高校で教鞭をとり、志村正彦君高3時の担任でいらっしゃいました。
会場に展示されていた吉高卒業アルバムの中、志村君のすぐ右に写っていらした担任の先生です。会場にいらしたファンの皆さん、気がつきましたか。
卒業アルバムの中の先生はとてもお若くて、志村君の髪型がなぜか先生と似ていて、思わず笑みがこぼれました。
フジファブリックファンの中には、2010年7月18日付け山梨日日新聞に掲載された「フジフジ富士Q」の記事を思い出す方もいるかもしれません。会場にいらした先生は山日のインタビューを受け、「多くの有名アーティストが志村君の曲を演奏しているのを聞き、音楽活動をがんばっていたことがあらためて伝わってきた」と感慨深げに話していらっしゃいました。
美術の先生である赤池先生が、音楽を志す多感な時期の少年に、どのような指導をなさったのでしょう。県下でもトップ3にはいる進学校、吉田高校で、芸術を解する赤池先生が最終進路を決める高3の時に担任だったことも、運命的な気がしてなりません。
先生の思いがこめられた作品が、会場に展示されました。
タイトルは「十代の君」(油彩)。
「正彦君は、いつもニコニコ笑っていた。透明な笑顔だった。たまに遠くを見るような、なんともいえない目をするのが、印象的だった。自分の記憶の中にいる彼を、描いてみました。」と、先生はおっしゃっていました。
吉高の制服に身を包み、その通りの表情の志村君が、絵の中で静かに佇んでいました。
2012年1月12日付け山梨日日新聞「ときめきゾーン 高校生」で、赤池先生と美術部員の描いた絵が、写真付きで取り上げられました。高校生たちのコメントも、心打たれる言葉ばかりです。詳しくは山梨日日新聞電子版にてご覧になれます。(山梨日日新聞電子版)
会場のところどころに、志村君と交友のあったアーティストの皆さんからのコメントが、楽譜台に飾られていました。その内容はここではご紹介できませんが、皆さん、ご自分の言葉で志村君への思いを、丁寧に丁寧に語っていらっしゃいました。
コメントを寄せてくださった皆さんに共通していたことは、みんな志村君の不思議な魅力(両極を併せ持っているようなところ)にノックダウンされ、彼を大好きだったこと。
彼はプロが惚れ込む音楽を作っていたこと。
そして、フジファブリックの音楽は、志村正彦、そのものだったということ。
どうしても最後はしんみりとしてしまい、涙を流しながら会場を出てくるファンも多かったのですが、そこを出口の同級生が困った顔をしながら、優しい声で呼び止めてくれます。
「あの~・・・、記念に、富士吉田の絵葉書をどうぞ。」
忠霊塔の桜と富士山、吉田のうどんぶりちゃん、などなど5,6種類の絵葉書の中から数枚、好きなものを下さいます。
「もしこの後、富士吉田の街を散策なさるのでしたら、このマップもどうぞ。」と、「吉田のうどんマップ」「富士吉田 下吉田・月光寺界隈マップ」「道の駅 富士吉田」など、ファンの要望に見合ったものを手渡して下さいます。
志村正彦展の最後を締めくくるに相応しい、まごころのつまった贈り物でした。
それを手に握りしめ、2,3歩いくと、左手にノートがおいてあります。「し」「む」「ら」「ま」「さ」「ひ」「こ」と表紙に書かれた計7冊のノート。その上には2008年凱旋ライブの時、月江寺駅に掲げられていた思い出の横断幕が飾られています。
ファンが自分の思いを書くノートです。
長い時間、思いを巡らせて一生懸命何かを書いているファンの横顔が、忘れられません。若い男性も女性も、子供も、ご年輩の方も、ひとりひとり真剣な表情で、ノートにメッセージを書いていらっしゃいました。
こういう真摯な態度も、フジファブリックファンらしいな、と思います。
次回は、「展示物 番外編」です。
同級生の皆さんが巧妙に仕掛けたサプライズに、心躍ったファンも多かったことと思います。長い待ち時間をもてあますことがない様にと、階段通路の壁にはられた高校生の小論文。下吉田駅隣の駅カフェにあったものは・・・?
一挙、公開致します。
今日の一曲は、「まばたき」です。
赤池先生の絵の中でほほえむ志村君を見ていたら、なぜかこの曲が心に流れてきました。You Tubeの映像が見つからないのですが、ぜひこの記事に合わせてお聴き下さい。名曲です。
フジファブリックメンバーの似顔絵つきメッセージ、紙でできた桜の花びらにうもれて笑っている志村君の写真、志村君の頭上にある富士山から日が昇るという構図が印象的な絵、オーストラリアのファンから国際便で送られてきた猫・富士山・ギターなど好きなものに囲まれている志村君の絵、などが展示されています。
「言葉にできないことを表現する」という点で、音楽も絵画も同じなのだと改めて実感。
衣食住が足りたからといって、人間は心豊かに暮らせるというものではありません。心の潤滑油として芸術を求めます。それは時に文学であり、絵画であり、音楽であります。
「音楽がなくてもいい人にはなりたくない」と、志村君は言っていました。
音楽の天才は、ファンからもらった絵や手紙を通じて、皆の気持ちを誰よりも敏感に感じてとってくれていたでしょう。そしてその大切さや温かさを、人一倍感じてくれていたのではと思うのです。
その隣には、山梨県立甲府西高等学校美術部員が出展した作品の数々が展示されています(学校案内は、山梨県立甲府西高等学校公式ホームページをご覧下さい)。現西高美術部顧問の赤池宏己先生は、かつて吉田高校で教鞭をとり、志村正彦君高3時の担任でいらっしゃいました。
会場に展示されていた吉高卒業アルバムの中、志村君のすぐ右に写っていらした担任の先生です。会場にいらしたファンの皆さん、気がつきましたか。
卒業アルバムの中の先生はとてもお若くて、志村君の髪型がなぜか先生と似ていて、思わず笑みがこぼれました。
フジファブリックファンの中には、2010年7月18日付け山梨日日新聞に掲載された「フジフジ富士Q」の記事を思い出す方もいるかもしれません。会場にいらした先生は山日のインタビューを受け、「多くの有名アーティストが志村君の曲を演奏しているのを聞き、音楽活動をがんばっていたことがあらためて伝わってきた」と感慨深げに話していらっしゃいました。
美術の先生である赤池先生が、音楽を志す多感な時期の少年に、どのような指導をなさったのでしょう。県下でもトップ3にはいる進学校、吉田高校で、芸術を解する赤池先生が最終進路を決める高3の時に担任だったことも、運命的な気がしてなりません。
先生の思いがこめられた作品が、会場に展示されました。
タイトルは「十代の君」(油彩)。
「正彦君は、いつもニコニコ笑っていた。透明な笑顔だった。たまに遠くを見るような、なんともいえない目をするのが、印象的だった。自分の記憶の中にいる彼を、描いてみました。」と、先生はおっしゃっていました。
吉高の制服に身を包み、その通りの表情の志村君が、絵の中で静かに佇んでいました。
2012年1月12日付け山梨日日新聞「ときめきゾーン 高校生」で、赤池先生と美術部員の描いた絵が、写真付きで取り上げられました。高校生たちのコメントも、心打たれる言葉ばかりです。詳しくは山梨日日新聞電子版にてご覧になれます。(山梨日日新聞電子版)
会場のところどころに、志村君と交友のあったアーティストの皆さんからのコメントが、楽譜台に飾られていました。その内容はここではご紹介できませんが、皆さん、ご自分の言葉で志村君への思いを、丁寧に丁寧に語っていらっしゃいました。
コメントを寄せてくださった皆さんに共通していたことは、みんな志村君の不思議な魅力(両極を併せ持っているようなところ)にノックダウンされ、彼を大好きだったこと。
彼はプロが惚れ込む音楽を作っていたこと。
そして、フジファブリックの音楽は、志村正彦、そのものだったということ。
どうしても最後はしんみりとしてしまい、涙を流しながら会場を出てくるファンも多かったのですが、そこを出口の同級生が困った顔をしながら、優しい声で呼び止めてくれます。
「あの~・・・、記念に、富士吉田の絵葉書をどうぞ。」
忠霊塔の桜と富士山、吉田のうどんぶりちゃん、などなど5,6種類の絵葉書の中から数枚、好きなものを下さいます。
「もしこの後、富士吉田の街を散策なさるのでしたら、このマップもどうぞ。」と、「吉田のうどんマップ」「富士吉田 下吉田・月光寺界隈マップ」「道の駅 富士吉田」など、ファンの要望に見合ったものを手渡して下さいます。
志村正彦展の最後を締めくくるに相応しい、まごころのつまった贈り物でした。
それを手に握りしめ、2,3歩いくと、左手にノートがおいてあります。「し」「む」「ら」「ま」「さ」「ひ」「こ」と表紙に書かれた計7冊のノート。その上には2008年凱旋ライブの時、月江寺駅に掲げられていた思い出の横断幕が飾られています。
ファンが自分の思いを書くノートです。
長い時間、思いを巡らせて一生懸命何かを書いているファンの横顔が、忘れられません。若い男性も女性も、子供も、ご年輩の方も、ひとりひとり真剣な表情で、ノートにメッセージを書いていらっしゃいました。
こういう真摯な態度も、フジファブリックファンらしいな、と思います。
次回は、「展示物 番外編」です。
同級生の皆さんが巧妙に仕掛けたサプライズに、心躍ったファンも多かったことと思います。長い待ち時間をもてあますことがない様にと、階段通路の壁にはられた高校生の小論文。下吉田駅隣の駅カフェにあったものは・・・?
一挙、公開致します。
今日の一曲は、「まばたき」です。
赤池先生の絵の中でほほえむ志村君を見ていたら、なぜかこの曲が心に流れてきました。You Tubeの映像が見つからないのですが、ぜひこの記事に合わせてお聴き下さい。名曲です。
2 comments:
おはようございます!
もう第5弾ですね☆
ありがとうございます!
絵画コーナーもほんとに素敵でしたね。
皆さんの志村くんへの愛情や敬意が感じられる作品ばかりでした。
赤池先生の髪型見忘れました(笑)
先生の作品には思わず感嘆の声をあげてしまいました。
記憶の中で書いたとは思えない、目の前に高校生の志村くんがいるかのような..。
ほんとにドキっとしちゃいました。
ファンや地元の方々だけでなくプロにまで愛される志村くんの音楽、そして志村くん自身の魅力は唯一無二だと思います。
もう二度とこんな人に出会えないでしょうね。
少しだけだったけど、出口で同級生の方とお話出来たのも嬉しかったな。
とても優しく対応してくださいました。
最後の最後までファンのことを考えてくださってほんとに感謝しています。
ジャックさんのレポートのおかげで当日気がつかなかったことや裏話、細かいことまで新たに知ることができてほんとに嬉しいです。
ありがとうございます!!
くるみさん、
コメントありがとうございます。
企画展レポートも、とうとう次回が最終回です。
赤池先生の作品は、素晴らしかったですね。本当に高校生の頃の志村君がいるようでした。
なんともいえない志村君独特の透明感が表現されていて、あの静かな笑みが逆に切なかったです。
何十年も教師をしていれば、相当な数の生徒さんを世に送り出してきていらっしゃるでしょうに、その中でも記憶に残る生徒さんだったのだと思います。
もったいない応援の言葉を、ありがとうございます。携わってくださった全ての方々の思いに恥じないよう、がんばります!
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