Monday, 27 June 2011

帰郷中にて、更新遅れています

怒涛のような一週間の末、山梨に帰ってまいりました。
思ったより蒸し暑く、日が差すとタイとあまり変わらないぐらい暑い?と思っていたら、朝晩はとても涼しく驚きました。
窓でも開けて寝ていようものなら、風邪をひきそうです。
水も冷たい!!
(山梨は真夏でも、不思議と水道水が冷たいのです)

久しぶりに見た富士山は、筋のように残雪がみえて、とっても美しいです。

中央道沿いの山が真っ暗で驚いたり、街も暗くて驚いたり(節電のため、照明が落ちているのですね)。7ヶ月ぶりの里帰りは、とっても嬉しい反面、戸惑うことも何回かありました。

これから1ヵ月半の間、山梨から発信していく予定です。

山梨日日新聞や山梨放送など、気になった記事などもお知らせ致します。
富士吉田の夏も、お伝えできればいいなと思います。

今日の一曲は、「虹」。
帰国前に、バンコクで二重のきれいな虹をみました。

Wednesday, 22 June 2011

女性バンドが富士吉田を歌に


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昨日、山梨日日新聞を読んでいたら、こんな記事が目にとびこんできました。

女性バンドが富士吉田を歌に
曲名「未来」 来月、市制祭で披露 

千葉県出身の女性3人組インディーズバンドが、富士吉田市をテーマにした曲をつくり、7月の23日の市制祭で発表するとのこと

詳しくは、こちら。山梨日日新聞 2011年6月21日 記事

ドキュメンタリー映画のテーマソングとして制作され、歌詞には「火祭り」「富士の山」「うどん」「機織りのリズムに合わせて走った路地裏路」「一人高台にのぼって見渡した吉田の町」など、市内をイメージした言葉が使われています。

一生懸命音楽を志している若者を、応援したいと思う気持ちは変わりません。

でも・・・どうしてこんなに心が晴れないでしょう・・・。

きっと、志村君。
志村君の作ったこの映画のテーマソング、聴いてみたかったんだよね・・・。フジファブリックファンで同じ気持ちの人達、多いと思う。

富士吉田で生まれ育って、心からふるさとを愛していた志村君だったから。
わざわざ「富士吉田」を歌おうとしていたわけじゃなかったのに、いつでも富士吉田を感じる名曲をたくさん書いていたあなただったから、あなたにしか書けない素晴らしい曲を聞かせてくれたに違いない、と勝手に思うのを止められないのです。

彼女たちの歌詞に「路地裏地」の言葉をみれば「陽炎」を、「高台に上って見渡した」の言葉をみれば「いつもの丘」を、思い出してどうしようもない悲しい気持ちになってしまうのです。
いつもポジティブに記事を書こう!と、心がけているけれど、今日だけは、ごめんなさい。

Friday, 17 June 2011

All Right

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今日は4thアルバム「Chronicle」より、12曲目「ALL RIGHT」です。
スウェーデンにて、録音されました。

今までのフジファブリックにはない感じの曲で、最初に聴いた時には驚いたファンも多かったようです。
ハードロック調のギターで始まり、歌詞はおもしろいライム(韻を踏む)と音楽にのって調子よくすすみますが、人にいえない苦しさと孤独、志村君の心の叫びが張り上げる声で私たちに訴えかけてきます。「Chronicle」には、涙なくしてきけない曲が多いのですが、私にとってこの曲もその一つです。

Merrymakersがお別れの時に、「フジファブリックがこんなにロックなバンドとは思わなかった。」と言っていましたが(「Chronicle」付属のDVD参照)、ミクスチャーロックのような、ラップメタルのような曲です。

まず、歌詞の中のライムについてみてみましょう。
この「ライム」という単語、日本だとラップやヒップホップで使用される音楽用語のようですが、本来「韻を踏む」の意味ですので、英語圏だと「ナーサリーライム」(イギリス英語で、マザーグースなどの童謡の意味。幼稚園などで子供たちが日常的に歌う童謡です)のように、詩の世界でよく耳にする言葉です。
イギリスの学校ですと、年長さんでこの「ライム」を使った詩を書く授業があるほど、一般的であり国語の授業で重要視されています。

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言葉の響き・音を重んじた「韻を踏む」という用法は、古くから日本文学にも存在したわけですが(恋心を和歌に読むのは、典型的ですよね)、これを歌詞とし音楽にのせて歌うというのは、また違うことです。
日本人アーティストによるラップは、日本語で歌われることが多いですが、日本語は英語とは文法や発声法、音韻が大きく異なるため、英語の用法をただ真似するわけにはいきません。
そのため、倒置法や喚体句などの修辞技法や、半韻や多重韻、英語風の発音が使用され、喋り言葉とはかけ離れた語調・文体となることが多いのです。(Wikipedia「ラップ」参照)

フジファブリックの「All Right」にでてくる、「轟音 爆音 騒音 雑言」も紙面上でみると日本語的ですが、英語風に音を重んじてみてみれば「go-on   back-on  so-on   zoh-gon」ときれいな韻を踏んでいるのがわかります。「zoh-gon」だけは英単語として意味をなしませんが、残りの3語は英単語として存在するものなので、不自然な響きはありません。

「轟音」は、大きく響き渡る音。「爆音」は、発動機の音・爆発の音ですから、めちゃくちゃで混沌とした状態をイメージします。
「騒音」は、耳にうるさく感じる音・やかましい音。「雑言」いろいろの悪口をいうことやその悪口。煩わしいような憂鬱な、忌々しい感じが伝わってきます。

「一杯」「頂戴」。
「酔いたい」「叫びたい」。
ここでも母音「ai」で、韻を踏んでいます。

「粉砕」は、粉状に打ち砕くこと。転じて敵を徹底的に打ち破ること。「玉砕」は、玉が美しく砕けるように、名誉や忠義を重んじて、潔く死ぬこと。まるで戦争を思い起こさせる単語の数々です。
「いっさい」「がっさい」。
ここでは、「さい sai」の音で、韻を踏んでいます。

音だけではなく、韻を踏む単語がまとまったときにきちんとした意味をなしているのをみると、志村君の語彙力に脱帽します。適当に音を探すのであれば辞書を開けばいいでしょうが、意味も兼ね備えるには豊富な語彙力が必要ですから。

「パンチドランカー」という言葉、5th アルバム「MUSIC」では曲名になって戻ってきます。
ドランカーというと「酔っ払い」?と思いますが、パンチドランカーとは主にボクサーが頭部に強い衝撃や打撃を繰り返し受けて脳に異常をきたし、頭痛・認知障害・人格障害を起こす病気で、大酒呑みとは関係ないようです。

もう一つ、気になった「マスコットボーイ」と「マスコットガール」。
英語のmascotには「開運のお守り」「縁起のよい人・動物・もの」という意味があることから、チームや団体などのシンボルとして採用される若い男性や女性の意味で使われます。

そして、曲中で4度流れる「Yeah! All Right!!」。志村君の張り上げる声が、すべてを物語っていると思います。
All Rightを、直訳すれば「満足な状態にある。申し分ない。結構な。」ですが、英会話では声のトーンにより「わかった、わかった。いいんだ、これで。」という意味にも使われます。

  • 「ねえ、今日忙しいから犬の散歩行ってくれる?」
  • 「All right, all right...」(沈んだ声、またはあきれたりやけになった声で「わかったよ・・・。」状況に不満をもちながらも、しようがなくする様子が伺える)

そんな意味も含まれているのかな、と私は個人的に感じました。

今日の一曲は、「All Right」。
もういいんだよ、志村君。もう何も心配しないで、大好な音楽を、ただ楽しんでいればいいんだよ。


Thursday, 16 June 2011

Passion Fruit - Sitar, a plucked stringed instrument (Translation of the post on 13th June 2011)

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Continued from the last post on Fujifabric's 9th single, 'Passion Fruits'. (also in their 3rd album, 'Teenager')
Today, let me introduce you a marvelous musical instrument called Sitar.

According to Fujifabric's interviews and The Musical Scores of 'Teenager' , an electric sitar was used in the song.
The sitar (play /ˈsɪtɑr/ or /sɪˈtɑr/; Hindi: सितार, Bengali: সেতার, Urdu: ستار, Persian: سی‌تار ; Hindustani pronunciation: [ˈsɪ.t̪aːr]) is a plucked stringed instrument predominantly used in Hindustani classical music, where it has been ubiquitous since the Middle Ages. It derives its resonance from sympathetic strings, a long hollow neck and a gourd resonating chamber.
Some of you might have heard the songs below...

Used throughout the Indian subcontinent, particularly in India, Pakistan, and Bangladesh, the sitar became known in the western world through the work of Pandit Ravi Shankar beginning in the late 1950s, particularly after George Harrison of The Beatles took lessons from Shankar and Shambhu Das and played sitar in songs such as "Norwegian Wood (This Bird Has Flown)" and "Within You Without You". Shortly after, The Rolling Stones used a sitar in "Paint It Black" and a brief fad began for using the instrument in pop songs.
(quoted from Sitar in Wikipedia)

Fujifabric is a prominent Japanese rock band who loves to try variety of different sounds, instruments and styles, and the sitar is used also in 'Mirror', the 9th song in their 5th album, 'MUSIC'. It is not surprising as Shimura kun listened to many kinds of music - ethnic music, rock, pops, classical music, jazz, hip-hop, rap music, etc, but his music is not falling too much on ethnic sounds, but an ethnic element is quite well balanced with other sounds in their rock music.

Please listen to the song, 'In The Light' by Led Zeppelin, and make a comparison between two songs.



The 8th song in Fujifabric's 4th album, 'Chronicle' also sounds quite ethnic, South Asian, right?

Shimura kun said that 'Passion Fruits' sounds like a Pakistani pop music, and the sound of the sitar is a key sound which makes such an atmosphere, I think.
In this song, Fujifabric was particular about making live sounds of instruments, so percussion, sitar are played by the band members. No synthesizer was used to create fake instrumental sounds.

There is a promotion video for 'Passion Fruits', too.
Band member's wear costume like 80's, and look funny!
Passion Fruits Promotion Video


The promotion video and the making scenes can be seen on the DVD, '2nd Collection of Video Clips FAB CLIPS 2' attached to the CD, Fujifabric SINGLES 2004-2009. It is available now.

Today's song is 'Passion Fruits'.
Enjoy listening to the song in the live version!
The arrangement is slightly different to the original one in the album, and both are admirable!!

Aka Fuji (Translation of the post on 14th June 2011)

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'Aka Fuji Tsushin' (literally means 'red Mt. Fuji News or Report) is well known among Fujifabric fans in Japan as the free booklets were given away to fans at a concert hall or a CD shop, when a new single or an album was released.
Please refer to the website of Fujifabric in Toshiba EMI for more details. There are many interesting articles about band members doing funny activities (go-carting, etc). Fujifabric in Toshiba EMI
Sorry, only Japanese language is available...

By the way, have you ever seen Aka Fuji before?
Quite a few people, including Japanese, believe that Mt. Fuji appearing red reflecting the sunlight at dawn  or at dusk, but in fact, Aka Fuji is a superb view of Mt. Fuji in summer.

Please look at the photo above.
Can you tell the colour of the surface of the mountain turns to be extremely red, when compared to the photo below?
This is so-called 'Aka Fuji' (Red Fuji).

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Aka Fuji can be seen only when three types of atmospheric phenomena happen one after another in a short period of time at the time of dawn or dusk. It is such a rare phenomenon.


  1. rain increases redness of the surface of the mountain
  2. rain clouds cleared up on the top of the mountain
  3. the sun shines on the mountain at dawn or dusk

The soil of Mt. Fuji is a plateau of lava, so when it absorbs water, the colour turns more red.
The clouds which made rain on the top of the mountain must be cleared quickly while the surface of the mountain is red, which means the wind has to blow relatively strong.
At Mt. Fuji, clouds appear often as moisture-laden air from the sea hits the mountain forming many types of clouds.  

Rain, wind, sunshine...
Not until then, appears Aka Fuji in front of us.

Even we are lucky enough to be able to see it, it can last only for a short time - it can be less than 5 minutes.
Aka Fuji is believed to bring you a good luck because it is such a rare phenomenon. You are already lucky to see such a beautiful site of Mt. Fuji!



Some of you might know Katsushika Hokusai's famous Ukiyoe print, 'Gai Fuu Kaisei', the print of Red Fuji from his series, Thirty-six Views of Mount Fuji.
Katsushika Hokusai

When you come to Yamanashi Prefecture, please visit Yamanashi Prefectural Museum, too. It is only 20 minutes by car from Kawaguchi Lake. There are many beautiful Ukiyoe prints of Mount Fuji by Katsushika Hokusai and Utagawa Hiroshige.

Today's song is 'Akane Iro No Yuhi' (The Madder Red Setting Sun).
Now we all know that the madder red setting sun is an essential element to make Aka Fuji!

Tuesday, 14 June 2011

赤富士

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フジファブリックファンにはおなじみの「赤富士通信」。
ニューシングルやニューアルバム発売時に、お店や各地のライブ会場などで無料配布された、フジファブリック発行の小冊子です。
東芝EMIのフジファブリックホームページ内、「赤富士通信」にてご覧になれます。東芝EMI フジファブリック 赤富士通信

数々の面白企画があり、メンバーの素顔が垣間見える楽しい記事が多いので、まだご覧になっていない方、ぜひ一度ご覧になってみて下さい。

ところで、「赤富士」がどんなものか、皆さんご存知ですか。
朝日や夕日に赤く照らされた富士山が赤富士と思っている方が結構いらっしゃるのですが、実は様々な気象条件が偶然重なってできる、夏の絶景なのです。

上の写真をご覧ください。
いつもは青い富士山が、びっくりするぐらい赤いと思いませんか。
これが本物の「赤富士」です。

他の季節でも雪をかぶった富士山が、朝日や夕日に照らされ赤や桃色に見えることがありますが、あれは赤富士とは呼びません。
赤富士とは、夏の夜明けか夕暮れ時に三つの気象現象が立て続けに起こらないと、見られない珍しい現象なのです。

  1. 雨で山肌の赤みが増す
  2. 雨雲が完全に晴れる
  3. 太陽の光が差し込む

富士の大地は溶岩質ですので、雨水を含むと急激に赤みを増します。
雨水が蒸発する前に(大地が赤くなっている間に)、富士山を覆っている雨雲がはれる必要があります。そのためには、短時間の間に雲を吹き飛ばす適当な強さの風が吹かなければなりません。
元々富士山では、海から吹く風が海水の湿気を含み、富士山の山肌にあたるため雲が出やすい山です。今雨を降らせた雨雲が一気に晴れ、そこにちょうど朝日か夕日が差し込んでくる・・・。そこではじめて「赤富士」が見られるのです。

これだけの気象条件が、順を追って次から次へ起こるということはまれであり、起こったとしても5分ほどしか続かないこともあります。毎日富士山を見ている地元の人達でも、なかなか見ることはできませんし、「赤富士をみると縁起が良い」といわれる所以はそこにあるのでしょう。



赤富士といえば、葛飾北斎の「凱風快晴」(東京国立博物館 所蔵)の浮世絵を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。国内外で人気の一品ですね。

山梨出身の私たちは、この絵を見るとどうしても「春木屋」さんを思い出してしまいますが・・・。(山梨県下ではよく知られるお茶屋さん。富士吉田店は、月江寺駅のある通りにあるので、志村君も前を通ったことはあったと思います。春木屋さんのシンボルマークがこの浮世絵で、化粧箱の上や会社紹介の小さな紙に、描いてあります。)

話がそれましたが、山梨県立博物館(笛吹市御坂町)では、富士山を描いた浮世絵(葛飾北斎や歌川広重)がご覧になれます。常設展だけではなく、特別展で富士山にまつわる珍しい品々を展示することもありますので、山梨にお越しの際はぜひいらっしゃって見てください。

今日の一曲は、「茜色の夕日」。
夏の茜色の夕日が、赤富士をつくっていたんだね。


Monday, 13 June 2011

パッション・フルーツ シタールという弦楽器


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前回に引き続き、9thシングル「パッション・フルーツ」(3rdアルバム「Teenager」にも収録)。
今日は音楽についてみてみたいと思います。

まず、この曲の大きな魅力のひとつ、シタールの音色です。シタール(ヒンディー語:सितार、英語:Sitar)は、北インド発祥の弦楽器民族楽器の一つで、独特の音色が特徴です。

シタールという言葉の語源はペルシア語のセタール(سه‌تار :三弦)とされている。
伝統的なシタールは19弦で、棹は長さが約90cmで約20個の金属製のフレットが結びつけられている。フレットの上には約7本の金属製の演奏弦が張られており、左手の指で弦を押さえミンド(チョーキング)という奏法により1フレットにつき4-5度音をだす。右手につけたミズラブ(金属製の爪)で弦をはじいて演奏する(撥弦楽器)。フレットの下には約12-16本の共鳴弦が張られている。
共鳴胴は通常ヒョウタン、もしくはユウガオの実(カンピョウの原料)を乾燥させたもので作られる(カボチャや木製、まれに真鍮製のものも)。また胴体とは別に、棹の上部にも同サイズかやや小振りの共鳴器が付くが、これなども他の多くの撥弦楽器(リュート、ウード、ギターなど)とは異なる特徴と言える。
Wikipediaより引用。


民族楽器ではありますが、60年代半ばからは、ヤードバーズのジミー・ペイジや、ビートルズのジョージ・ハリスン、ローリング・ストーンズのブライアン・ジョーンズらが使用したため、欧米のロックファンにもよく知られる楽器になりました。レッド・ツェッペリンも「イン・ザ・ライト」の中で(アルバム「フィジカル・グラフィティ」より)、シンセで奏でるシタール風の音を使い、当時のミュージック・シーンで注目されましたが、この音色を聞くと瞬時に「インド!」と連想するほど、印象的な音色を出す楽器です。



フジファブリック5thアルバム「Music」9曲目「Mirror」でも、シタールの音色が聞こえますね。民族音楽、ロック、ポップス、クラシック、ジャズ、テクノ、ラップなどありとあらゆるジャンルの音楽を聴いて楽しみ、研究していた志村君の使うシタールの音は、他のバンドに比べ、民族音楽に偏りすぎず(インド・パキスタン風すぎず)、良い塩梅でロックミュージックに溶け込んでいると思います。
ぜひレッド・ツェッペリンと、聞き比べてみてください。
4thアルバム「Chronicle」8曲目「Listen to the music」も南アジア風な音楽ですが、シタールが使われているかどうか不明です・・・。調べてみます。

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志村君のいう「パキスタンの歌謡曲」の雰囲気は、このシタールが一つのキーポイントになっているのではないでしょうか。パキスタンでも北インド同様、民族音楽だけでなく、歌謡曲にも使われる楽器の一つだからです。

この曲でフジファブリックは、機械でやっていそうなところを全部楽器で生演奏するという点に、こだわりました。フジファブリック Teenager バンドスコアによると、リード・プレイは全てエレクトリック・シタールが担当しているそうです。
また、上段パートの演奏がないサビでは、シタール奏者がシンセのコード・プレイを臨時的に行うというイレギュラーなスタイルを用い、こちらもまた一人分異常の仕事をこなす。・・・シタールは、トレモロとスライド・バーでシンセ的なサウンドを出す場面があるので、こちらも原曲に近い音になるようあれこれ模索してみると面白いだろう。
素人目にみても、とても大変そうですし、とても複雑なことをしてあの音楽が構成されているのがわかります 。(パーカッションの乾いた音も、生演奏です。)
「パッション・フルーツ」のPV(2007年8月12日撮影)を見ると、ギター担当の山内君が弾いていますが、思ったより大きい楽器で驚きました。
PVはメイキングと共に、フジファブリック SINGLES 2004-2009にセットで入ってくるDVD「2ndビデオ・クリップ集 FAB CLIPS 2」でご覧になれますので、よろしかったらどうぞ参考になさって下さい。

フジファブリックのキーボードの使い方には、いつも感動させられるのですが、「パッション・フルーツ」も例にもれず、ポップな音がシタールの音を和らげて、より現代ロックに近い感じに仕上げています。

では、今日の一曲「パッション・フルーツ」。

ライブ映像をどうぞ。アルバム収録曲とは違うアレンジになっていて、こちらも魅力的です。



PVはこちら。とてもフジファブリックらしいナンバーで、PVも志村君はじめメンバーみんなの衣裳が80年代っぽく、楽しいです。フジファブリック 「パッション・フルーツ」

Wednesday, 8 June 2011

Is 'Passion Fruits' addictive? (Translation of the post on 3rd June 2011)

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Here in Thailand, the rainy season has come. Unlike the one in Japan, it lasts for more than 6 months! Beautiful fresh green everywhere, and floods nourishes dry soil and help plants to grow. This is the season of tasty tropical fruits, too, including passion fruits.

Today's post is continued from the last one about 'Passion Fruits' by Fujifabric.
Let's take a look at the lyrics.

The song begins with the main melody and the lyrics going along with it, "Yume No Naka De Ayakashi Passion Hibiki Wataru Fanfare" (In the dream, strange passion   the fanfare resounding) keeps repeating in the head if you listen to it once for sure!

Where does the feeling of 'unidentified nationality' and 'a mystery time setting' come from?

ファイル:SekienAyakashi.jpg

The word, 'Ayakashi' can be translated as 'something strange or suspicious', but the word originally derives from a ghost that appears at sea during a shipwreck.
Japan is surrounded by sea, and a large number of Japanese people are engaged in fishery. There are many folk tales and legends of fishermen, and that shows their job is always a struggle with mother nature risking their life.

Ayakashi is a ghost at sea trying to sink ships in a storm.  They suddenly appear and stop the ship by putting their hands on the edge of the ship asking for a ladle.  Fishermen believe that you are supposed to give the one with no bottom, otherwise Ayakashi would ladle water up into the ship and sink it, according to Mr. Shigeru Mizuki.

This is the reason why the word, 'ayakashi' sounds more spooky than the word, 'ayashii', which also means strange. We have stepped in the marvelous world of Fujifabric already.

Another point that attracted my attention was there are many words implying the West in the lyrics.

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For instance, 'fanfare', 'Odoru Dokeshi' ('a dancing clown'), 'vampire', 'Majutsushi' ('wizard'), 'Tejinashi' ('magician'), 'Kindan No Yakusoku' ('the forbidden promise'), and so on.
The words written above have been imported from the west and been applied adequate words which share the similar meanings in Japanese language. Because of their foreign origin, the words in the lyrics give us an impression of the West in my opinion.

There are two persons in the lyrics -  "Boku", (first person pronoun for a man) and "another one".  I always believed that is a lady, but in fact, no specific words are found implying that is a lady.  'Firm prim look', 'a suppressed smile', 'please keep your glasses on' might have made me imagine a lady.

Shimura kun explained that the music sounds like a popular song in Pakistan. Why is it?
Let's take a look at the music in the next post.

Today's song is 'Passion Fruits'.

Friday, 3 June 2011

中毒性抜群「パッション・フルーツ」

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今年のバンコク、真夏がないまま(4月中旬が一年で一番暑い季節)乾季から雨季にそのまま突入しました。
温帯地方出身の日本人にとって、熱帯地方の雨季で印象的なのは、なんといってもバケツをひっくり返したように降る雨と、空をつんざく雷。窓からいくら眺めていても全然飽きないほど、魅力的です。
天地創造を思い出してしまうほどの雷鳴。日本にいたときには特に雷を怖いと思わなかったのですが、こちらに来てからは野生の本能が目覚めたのか?、稲妻と雷鳴に身の危険を感じるようになりました。

6ヶ月もの長い雨季の間、川から溢れる雨によって土は肥え、植物も動物も静かに、そして着実に成長していきます。
命の季節です。

そして、雨季はパッションフルーツの旬の季節でもあります。(と、タイ人はいいますが、通年スーパーで見かける気もします・・・)あの不思議な花とパッションフルーツの香り、南国にとってもよく似合います。

さて、フジファブリックの「パッション・フルーツ」です。
実はこの果物の爽やかな芳香と味からはかけ離れた歌詞となっております。
今日は、歌詞を詳しくみていきましょう。

まずファンの皆さんご存知のように、この曲はサビから始まる中毒性抜群の曲です!
一度聴いたら、「夢の中で あやかしパッション 響き渡るファンファーレ」がリフレインし、頭の中で鳴り止まらなくなること間違いなしです!!

志村君が伝えたかった「国籍不明感」と「謎の時代感」は、いったいどこからくるのでしょう。

まず注目したいのは、「あやかし」という言葉。
元々、「あやかし」とは船が難破するときに出るといわれる妖怪、別称「舟幽霊」のことです。
ファイル:SekienAyakashi.jpg



海上で転覆しおぼれた人の魂が、夜にまぎれて行き交う舟を沈めようと現れ出るという。
その怪異のはじめは、ひとにぎりの綿が風で飛んでくるように波に浮かび、やがてその白いものがすこし大きくなるにしたがい、面方が現れ目鼻がそなわり、友を呼ぶようなかすかな声がする。
するとたちまち数十の幽鬼が現れ、船端に手をかけて舟の走るのを止める。幽鬼は奇声をあげて、「いなた(舟人の言葉で大柄杓のこと)貸せ」という。そのときには、必ず底を抜いた柄杓を海上に投げ与えること。もし底のある柄杓を与えると、海水を汲み入れたちまち舟を沈めるという。

(「舟幽霊」 水木しげる「日本妖怪大全」より引用)

これから転じて、あやかしとは、不思議なこと、あやしくはっきりしないことを指す言葉となりました。ここの「パッション」は、おそらく日本語で多くの場合に使われる「激しい感情、情熱」と思われます。
「夢の中で あやかしパッション」のほうが、「夢の中で あやしいパッション」よりも怪しさの質がモノノケめいて?いるような気がしませんか。
その上舞台は「夢の中」。
すでに出だしで、私たちは気付かないうちに、フジファブリックの不思議ワールドに引き込まれていっています。

「響き渡るファンファーレ」
ファンファーレの起源は中世ヨーロッパに遡り、用いられる楽器は、主にトランペット(特に専用のファンファーレ・トランペット)やその他の金管楽器であるため、日本人にとって「西洋」のイメージが強いものです。よく目にするのは、ヨーロッパ王室の戴冠式などに代表される式典でしょうか。

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そして続く「踊る道化師」
こちらも中世のヨーロッパ色が強く、シェイクスピアの戯曲などにもしばしば登場する「宮廷道化師」、18世紀イギリスのサーカスでおどけ役をした「クラウン」、クラウンよりもさらに馬鹿にされる芸をする「ピエロ」などを全部ひっくるめて、日本語では「道化師」と呼びます。
ピエロの顔に描かれる涙マークは、馬鹿にされながら観客を笑わせているがそこには悲しみを持つという意味を表現したものであるとされ、しばしば悲壮感が漂うキャラクターです。

ここまでは、なんとなくヨーロッパ的な感じがすると思うのですが、どうでしょうか。

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「ゆうべの君は 悪の化身で 例えるならバンパイア」
バンパイアは吸血鬼のことで、「ファンファーレ」「道化師」と共に西欧のイメージです。これは、吸血鬼伝説がヨーロッパの伝承に起源をもつものが多いからなのですが、特に近代の映画などに出てくる吸血鬼は東欧ルーマニアの影響が強く、スラブ民族とキリスト教の文化が同時にみられますので、志村君がイメージしたバンパイアはこんな感じではと想像します。(吸血鬼伝説を紐解くと、話が長くなりますので割愛します。)

「甘く熟れた果実のようだね」
ここで初めて、前述の「パッション」と「甘く熟れた果実」で、「なるほど、それでパッション・フルーツかぁ。」と、私は勝手に連想。

ここまでだけでも、すでに「あやしさ」抜群です!

夜の町灯りに照らされ、一緒にいる二人。
一人は「僕」で、もう一人は・・・?
最初に聞いたときから小悪魔的な女性を想像していたのですが、改めて歌詞を見てみると、特にもう一人を「女性」と限定するような言葉もないのですね。
「揺るぎのない スマシ顔」「含み笑いが素敵だね」「メガネはどうか そのままで」などが、小悪魔的な女性を想像させたのでしょうか。

続けます。

「だからダメだったら 駄目だったら だめ」
だめが三回、カタカナ、漢字、ひらがなで書き分けることによって強調されていて、「こんがらがる秘密 暴いてく 謎とき ひもとき 深まる謎 ひとたまりもなく落とされては」
ここらへんも「あやしい」においが、ぷんぷんします。

その後サビが続きます。

言葉のリズムが素敵な響きをもつ「だからからかったら からかったら ダメ」の後、
「手を取り円を作らせてくれ 魔術師 手品師 手を変え品 そして禁断の約束しよう」

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手を取り円(サークル)を作る動作、魔術師、手品師。まるで魔方陣や魔女狩り、黒魔術を連想されるような、ここでもなんとなく暗~い「西欧」のイメージが漂いませんか。
そして「禁断」という言葉。アダムとイブが口にしてしまった「禁断」の果実を思い出すのは、私だけでしょうか・・・。

「国籍不明感」がどこで表現されているかと、歌詞をみてみましたが、どうも一貫して「西欧」のイメージが強いですね。
一方、「謎の時代感」は・・・中世と現代と混在しています。

この怪しく魅力的な歌詞に、あの音楽が流れるからこそ「パッション・フルーツ」になるのです!
次回、詳しく見てみたいと思います。

今日の一曲はもちろん、「パッション・フルーツ」。
一度聴いたら、一日中、頭に流れ続けますよ~~。


Wednesday, 1 June 2011

Passion Fruit (Translation of the post on 27th May 2011)

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How many of you has seen this beautiful flower with a subtle charm before?
And how many of you knows that after the flower is scattered, a round-shell fruit called a passion fruit can be harvested?

Not me!
As I am from Yamanashi Prefecture, which belongs to temperate latitudes of the globe, I had seen neither a passion flower or a passion fruit before I came to Thailand.  Due to cold winter in my town, tropical plants don't grow naturally in the area.
When my parents were little, tropical fruits were hardly seen in market, too as transportation system was not good at that time. Even common fruits such as bananas used to be very very expensive in my town.
Passion tree is a vine plant that is native to Paraguay, Brazil and northern Argentina 
Common names include Passion Fruit (UK and US), Passionfruit (Australia and New Zealand), Granadilla (South America and South Africa), Pasiflora (Israel), Parchita (Venezuela), Maracujá (Brazil, Ecuador, Peru, Paraguay), Maracuyá (Peru, Colombia, Panama), Chinola (Dominican Republic), Lilikoi (Hawaiian), Magrandera Shona (Zimbabwe), Markisa (Indonesian), and Lạc tiên, Chanh dây or Chanh leo (Vietnamese). 
(from Wiki,  Passiflora edulis)
Here in Thailand, it is called 'sawa rot'.

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It is cultivated commercially in frost-free areas for its fruit and is widely grown in many parts of the world such as
India, Sri Lanka, New Zealand, the Caribbean, Brazil, Colombia, Ecuador, Indonesia, Peru, California, Florida, Haiti, Hawaii, Argentina, Australia, East Africa, Mexico, Israel, Costa Rica, South Africa and Portugal. 

For those who are not familiar with this fruit.

The passion fruit is round to oval, either yellow or dark purple at maturity, with a soft to firm, juicy interior filled with numerous seeds. The fruit can be grown to be eaten or for its juice, which is often added to other fruit juices to enhance the aroma. The fruit shown are mature for juicing and culinary use. For eating right out of the fruit, the fruit should be allowed to wrinkle for a few days to raise the sugar levels and enhance the flavor.
The name, 'passion fruit' is actually nothing to do with a strong emotion of feeling, but something more religious.


The passion fruit has had a religious association as reflected by the name "passion" given to it by Catholic missionaries who thought that certain parts of the fruit bore some religious connections. These missionaries (who were joined by the Spanish Conquistadors in South America), saw a way of illustrating the Crucifixion:
  • The three stigmas were to reflect the three nails in Jesus's hands and feet.
  • The threads of the passion flower were believed to be a symbol of the Crown of Thorns.
  • The vine's tendrils were likened to the whips.
  • The five anthers represented the five wounds.
  • The ten petals and sepals regarded to resemble the Apostles (excluding Judas and Peter).

Fujifabric's 9th single released on the 5th September 2007, is 'Passion Fruits'.
The song can also enjoyed in their 3rd album, 'Teenager'. (The 9th song)

The name of the song gives an impression of  "foreign-origin" of the song, which Shimura kun aimed at - "unidentified nationality" and "a mystery time" (not knowing in which period the music was made).

Shimura kun said in his interview in FAB BOOK, "this is the song which tried to satisfy our fans' requirements, identities of Fujifabric's music". It is a wonderful song with a mystery charm, exactly like the fruit itself.

"This is like a fun song, which sounds a bit like a Pakistani popular song, but it is Fujifabric which makes a song like 80's. It was the time that the band was looking for what is an identity of Fujifabric's music.".

'Passion  Fruits' was released between 'Surfer King' and ' Wakamono No Subete' ('All About The Youth').
What Shimura kun aimed at were expressed through both in music and the lyrics.

Let's take a close look at the lyrics and the music in the next post.

Today's song is 'Passion Fruits'.