Thursday, 28 August 2014

2014年8月5日 河口湖湖上祭

タイに戻ってまいりました。

日本滞在中には、お世話になりありがとうございました。皆様から、そして山梨の自然から、いっぱい充電してきました!その力を原動力にまた頑張りますので、どうぞよろしくお願い致します。

本文の前に、ちょっと小話を。

ここ数年搭乗している日本航空さんでは、食事の時間以外にもお客様が気兼ねなく水が飲めるようにと、ペットボトルの水を一人一本下さいます。
そうなんです。
この「富士山のバナジウム天然水」、採水地が富士吉田なのです!
日本を離れ飛行機に乗ってまでもふるさとの水が飲めるなんて・・・、とっても幸せな気分になります。日本航空さん、ありがとうございます!

私はこれをそっとバッグに忍ばせ、家に持ち帰り、冷蔵庫で保存して、特別な日に飲みます・・・。ちょっとけちっぽいですよね・・・。「人間はふるさとの水に近い味の水を、おいしいと感じる。」ときいたことがありますが、そうかもしれません。

富士吉田の道の駅では、無料で富士山の湧き水を飲むことができますから、富士吉田にお越しの際はぜひ足をのばしてみて下さい。夏でも冷たいおいしい水です。

今日は湖上祭について書きたいと思います。

海なし県の山梨。
花火は河原で打ち上げられるのが主流です。
その中で「湖の花火」として最も有名なのが、この湖上祭花火大会です。
毎年8月5日に開催されます。

百余の提灯を船に付け湖に漕ぎ出し、世の穢れを水に流すという河口浅間神社の祭事に由来する湖上祭(富士河口湖町発行 パンフレット参照)は、今年、98回目を迎えるお祭りです。

湖上祭の詳細はこちらをどうぞ。富士河口湖 総合観光情報サイト 2014年8月4、5日 湖上祭

今回は知り合いの方が、地元の人達しかいかない穴場へ連れて行って下さるというので、夕方まだ明るいうちに甲府を出発し河口湖へ向かいました。

途中、見慣れている私たちでさえ驚くほどの、きれいな富士山が顔を出していました。
赤みがかかった富士山も、また絶景です。
(2014年8月5日 本栖湖にて撮影)

秘密の花火観覧場所?は、河口湖のほとりに広がる草はらでした。

岸辺に生える草は下に土がなくても四方八方に伸びているので、変なところに足をおくとそのまま湖に落ちてしまい危険ですが、そこはさすが地元の方。小さな懐中電灯を頼りに、草をかきわけ進みました。

19時半にはピクニックシートに座り、45分から始まる花火を待っていました。

甲府を出た時には灼熱地獄のようでしたが、河口湖のほとりでは長袖を着ていないと寒いぐらいの気温でした。心地よい夜風に吹かれ、ほのかな月明かりの下、山の上ではロープウェーの小さな明かりが行ったり来たりしているのが見えました。草原からきこえる虫の音に耳をすましていると夏の終わりを感じ、なんともいえない寂しさと共に「茜色の夕日」の一節を思い出していました。

「短い夏が終わったのに今、 子供の頃の寂しさがない」


19時45分ぴったりに、花火が始まりました。

スターマイン(連射連発花火。いくつもの花火が組み合わされて、短時間に大量の玉が打ち上げられるので、とても華やかです。)にはじまり、次々と花火が打ち上げられていきます。

河口湖大橋の南西寄り(富士吉田寄り)、富士レークホテルの前辺りから
上がっていましたが、20時頃には八木崎公園からも上がり、見事な大輪が夏の夜空に広がっていきました。
現代風のスマイリー・フェイスやハート型の花火のほか、糸柳、椰子、牡丹、デイジー、しだれ桜に似た形の花火や、菊の大輪の中に色とりどりの小さな花が咲いたようなものもありました。

花火と花火の間の小休止がほどよい長さで、余韻にひたることができるのも湖上祭のいいところで、周りからきこえる「子供たちの甲州弁で語る花火の感想」が妙に可愛らしく、思わず笑みがこぼれました。


県外ではあまり知られていないのですが、8月1日から5日まで、富士五湖では花火大会が各湖順々に開催されます。1日の山中湖 報湖祭にはじまり、2日の西湖 竜宮祭、3日 本栖湖 神湖祭、4日 精進湖 涼湖祭、最終日5日が河口湖 湖上祭です。(詳細はこちらをどうぞ。山梨県 花火大会 2014年

東部・富士五湖地方(私達はこの地域を『郡内』と呼びます)の人達にとって、富士五湖花火大会の中で最後を飾るのが湖上祭なので、「湖上祭=最後の花火大会」という認識の下、「最後の花火だね。」という言い方をよくします。

8日には忍野の花火大会が控えていますので、郡内地方最後の花火大会というわけではないのですが、地元だとこの「最後の花火」が会話にちょこちょこ登場します。

今回連れて行って下さったのは鳴沢村の方でしたが、「お盆を過ぎれば、夏は終わり。」という話をしていました。甲府盆地に住む私達も、昔から「お盆を過ぎると、朝晩の風が涼しくなる。」といい、事実、山からの風が変わるのを感じます。
「暑さ寒さも彼岸まで」で日中は暑い日も多いのですが、盆明けに朝晩の涼風に吹かれると、正に「真夏のピークは去った」気持ちになるのです。

皆さんがお住まいの地域ではいかがですか。

いよいよ花火も佳境を迎え、湖上祭名物、孔雀花火へ。

湖面で弾ける花火は半円を描き、孔雀が羽を広げた姿に似ているためにその名がつきました。水面に波がたたない湖でしかできないこの花火は、河口湖名物です。
半円が湖面に映り、逆さ富士を思い出させます。
こんな形の花火です。


フィナーレの「世界遺産 富士山」が終わり、周りは元の静けさに戻っていきました。

花火大会が終わった後のこの寂しさは、いったいどこからくるのでしょう。

夏が終わるから?

子供の頃は「長かった夏休みがもうすぐ終わるから。」という理由もあったかもしれませんが、どうして大人になった今もこんなに寂しいのでしょう。

庭に転がる乾いた蝉の死骸、しおれたひまわり、盆明けに吹き始める朝夕の涼しい風に、どうしてこんなに切なくなるのでしょう。生命あふれる季節が終わり長い冬に向かう中、時の流れや四季の移ろいに私達は抗えないんだということを本能的に感じ取るからなのでしょうか。

最後を飾るとびきり華やかな花火の後の静寂に、躍動する季節の後にくる沈黙の冬を知らず知らずに重ね合わせるのかもしれません。



この季節のラジオ定番曲になりつつありますね。
フジファブリック「若者のすべて」を、お聴き下さい。

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