今朝は少しだけ涼しい風が吹いたバンコクから、この記事を書いています。
11月25日は、ロイクラトーンのお祭りでした。
陰暦12月の満月の夜、農民の収穫に恩恵深い水の精霊に感謝を捧げ、また罪や穢れを水に流し、魂を清めるお祭りとされています。バナナの茎、葉、紙などで作ったクラトーン(灯篭)を、ロウソクや花、線香で飾りつけ、満月を映す川面に流します。(近くに川がなければ、水路、池、湖など、水があるところであれば、OKです。)水に浮かぶクラトーンはとても幻想的で、このお祭りを見るために外国からも多くの観光客が訪れます。
最近では「エコに祝おう!」ということで、パンでできた灯篭も多く出回っています。精霊に感謝して、穢れを流した後は、お魚に食べてもらいましょう、ということのようです。
家の近所の池では、魚だけでなく亀もお相伴にあずかっていました!
さて、そんなタイで最近気付いたことがあります。
それは「忠霊塔をしょっちゅう街でみかける。」ということ。
なにかのブームなのか。
はたまた、なにか違う理由からなのか・・・。
タイ人にきいてみましたところ、「観光名所の代表的な場所のひとつだもの。日本に行ったら富士山、富士山といえば忠霊塔。」とのこと。
もう少し詳しく調べようと、日本への観光案内の本を見に本屋さんへ行ってみると、確かに表紙になっている写真はほとんど富士山!
すごい人気です。
「Japan Trip」という本を試しに買って、読んでみました。
第一章「日本へ行く人が準備すること」の始まりのページにも、忠霊塔の写真が見開きで色鮮やかに載っています。中心には富士五湖文化センターがはっきりとみえて、紅葉する機微と忠霊塔の赤、富士山の白と文化センターの白が、きれいにコントラストして気持ちが高揚してきます。 |
第二章「東京」は「浅草」「新宿」など、東京の主な街が載っていて、第三章は「河口湖」です!
後々続く「箱根」「鎌倉」「横浜」「かわさき」の前に、取り上げられています。(そして目次のページでも、やっぱり富士山!)
JR新宿駅から電車やバスでのアクセスなど、事細かに説明されていて、「河口湖」「河口湖天上山公園 カチカチ山ロープウェイ」「河口湖オルゴールの森」に続いて、「忠霊塔」が登場します。
内容を簡単に翻訳してみました。
「日本の観光ポスターには必ずと言っていいほど載っているこの忠霊塔。
河口湖駅から電車で約15分。下吉田駅で下車。少し歩くと、山の中腹に忠霊塔が見えてきます。ポスターで見るあの景色を見たかったら、あの山に登らねばなりません。ここは新倉浅間神社の一部で、桜の季節になると多くの日本人観光客も訪れます。『さくら、富士山、五重塔』という日本ならではの絶景をみることができる場所です。」
まず、出だしの「日本の観光ポスターには必ずと言っていいほど載っているこの忠霊塔」というところに、驚きを隠せません。
えっ!そうなの!?
スカイツリーでもなく、鎌倉の大仏様でもなく、金閣寺でもなく、忠霊塔が、日本の観光ポスターには欠かせないなんて!
もちろんとても良い場所ですが、いつからそんな有名になったのでしょうか・・・。
タイ人なのか、それとも日本人なのかはわかりませんが、私が推察するに、日本の観光ポスターに誰かが忠霊塔を起用し、いつの間にかそれが定着して、タイ人の心の中に「富士山=忠霊塔」という構図が出来上がったのではないでしょうか。
7,8年前まで、忠霊塔で外国人を見かけたことはほとんどなく、日本人でさえすれ違うことも多くなかったのに、いつの頃からか桜の季節に大型バスを見るようになり、今ではどの季節に訪れても高確率でタイ人と遭遇するという場所になりました。新倉浅間神社に奉納されている絵馬にも、タイ語の文字がいっぱいです。
私も2度ほど、鳥居の前でタイ人とお話したことがありますが、「こんないいところを離れて、どうしてバンコクなんか来たの?」と言われました・・・。
本当にいいところですものね。
そして、もうひとつ。
「DACO」という「日本をもっと知りたいタイ人のための情報誌」とうたうフリーペーパーがあります。
この「JAPAN OMIYAGE お土産」という特集の中で、「富士フォン」が掲載されていました!
こちらも内容を翻訳します。
「形が富士山の富士フォン。
原材料も良質のものを使っています。富士山の湧き水を忍野から取り寄せ、富士山麓にあるミルクランドでとれる牛乳を使用。一度食べたら病み付きになること、間違いありません。Japan Gift Awards 2015年を受賞。」
タイ人も知るところとなった、富士フォン!
実は今回の帰国の際、富士吉田でお土産に頂いたものを大切にバンコクへ持ち帰ってきたので、周りのタイ人に本物を見せて大喜びされました。
なんだかちょっとみんなに自慢・・・してしまいました。
最後にもう一つ。
先日バンコク市内のファミリーマート(タイにもファミリーマートがあります)で飲み物を買おうと、手に取ったお茶になんと!
またもや忠霊塔が!!
これは伊藤園のジャスミン茶なのですが、なぜか裏には忠霊塔の写真が載っているのです。「よっぽど『日本=富士山=忠霊塔』のイメージがあるんだな。」と、思った出来事でした。
味の方は・・・、日本人にとってはちょっと甘すぎて、受け入れられないかもしれません。
フジファブリックファンにとっては聖地ともいえる「いつもの丘」、忠霊塔。
その魅力はいまや国内に留まらず、世界中から大勢の人が訪れるようになりました。フジファブリックの音楽も、いつか富士山麓から世界に響くようになるんだ!と、信じて疑わない今日この頃です。
今日の一曲は、「浮雲」です。
忠霊塔といえばやっぱりこの曲ですが、「ペダル」を聴いても忠霊塔が頭に浮かぶのはなぜでしょう。
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