Thursday 18 September 2014

志村日記 2008年9月 声帯ポリープの手術


中秋の名月にスーパームーンと、月にまつわる行事が多かった9月の上旬でしたが、皆さんがお住まいのところではいかがでしたでしょうか。

日本人は空気が澄み渡るこの時期に、満月の美しさを堪能してきました。自然の美しさ、また風流なさまを「花鳥風月」という言葉で表現する言葉で表現しますが、月はまさに日本人の美意識をくすぐる存在なんでしょうね。

十五夜の日、私の住むバンコク・トンブリ地方では夕方から夜にかけて土砂降りの雨で、みえるのはカーテンから差し込む稲光ばかり。暗い部屋で激しい雨音をきいているうちにウトウトしてきて、結局月を見ることもなく、夜は過ぎていってしまいました。

その代わり、次の日の今年最後と言われたスーパームーンは見ることができました!

タイというところは元々野良犬がとても多い土地柄なのですが、その日に限ってあちらこちらで近所の犬が遠吠えをしていて、狼男を彷彿させました・・・。あれだけ大きい月をみると、日本人が楽しむ風流なお月見とはまた別物の気がしてくる、タイのスーパームーンでした。


さて、今日は志村日記について書こうと思います。

2008年のちょうど今頃(2008年8月26日から9月11日迄の間)、志村君は声帯ポリープの手術のため、入院・治療をしていたことが日記からわかります。

どんな手術にも危険は伴うわけですが、ミュージシャンとして致命的な打撃になりうる「声が出なくなるかもしれない」というリスクは、ボーカル・ギターを担うフロントマンにとって恐怖と不安を伴うものだったに違いありません。

声を使うことを仕事にしているプロの人は、正しい発声方法が出来ていても喉を酷使するため、声帯ポリープができる人が多いとききます。声帯が炎症を起こした後、しばらく喉を休ませれば自然治癒することもありますが、そんなことを言っていられないのがプロの悲しいところ。

ご本人のいうように、「職業病」です。(「東京、音楽、ロックンロール 完全版」2008年9月11日付)



万が一に備え、「デモテープを全部自宅で作って、アレンジとかも全部して、歌詞作って歌入れして、メンバーに渡しておいたんです。」(「東京、音楽、ロックンロール 完全版」2008年6、7、8月分インタビュー)。

夏フェスが終わったら手術をすることが既に決まっていたそうですが、自分の体だけでなく職業にまで及ぶリスクを承知しつつ、万全を期して手術に臨むため、着々と準備を進めていた様子が志村日記に書いてあります。

「自分の声がもう最後になるかもしれないんで録っとかなきゃと思ったら、どんどんどんどん、20曲くらいできて。ROCK IN JAPAN FES. が終わって、スピッツの『ロックロックこんにちは!』に出て、ポリープの手術に向けて作曲をして、デモテープ20曲くらい作って、満を持して手術っていう。」(「東京、音楽、ロックンロール 完全版」2008年6、7、8月分インタビュー)

「音楽とことば」のインタビューの中で、日常にいながら常に音楽を作ることに焦点を絞りアンテナを張り続ける志村君をみて、

「マジメな人なんですね。」

と言ったインタビュアーに対し、

「でもそれは作品に対してだけ(笑)。だから音楽やってんですよ。ほかでマジメだったら、ほかのことやってますからね。」

と、答える箇所を思い出しました。(「音楽とことば あの人はどうやって歌詞を書いているのか」日経印刷 2009年3月25日発行)

自分が納得のいく曲を20曲も作曲して、録音して、メンバーに渡せるクオリティーのデモテープを作るという作業が、どれほど大変なことなのかというのは素人の私などには想像すらできません。でも大変な努力と苦労と時間が必要なことだろう、という察しはつきます。

「言うのは簡単な事 するのは難しい事」
(『Hello』 5thアルバム「MUSIC」より)

その通りですね。

音楽に対する一生懸命さとマジメさがあったからこそ生まれた曲たちは、今も志村正彦さんという人を多面的に語り続けてくれているような気がしてなりません。

2008年は、9月14日が中秋の名月でした。(月探査情報ステーション

この日の志村日記には、月について何も書いてありませんが、怒涛の日々が過ぎていくのが垣間見える2008年の日記です。

今日の一曲は、「お月様のっぺらぼう」です。
2006年12月25日、渋谷公会堂でのライブ映像です。

曲とアレンジのかっこよさ!

CDもいいけどライブはもっといいバンドは、本物だと勝手にいつも思っている私。
フジファブリックってつくづくカッコいいバンドだな、と改める思わせる曲と演奏なので、まだご覧になっていない方はぜひ!

この渋谷公会堂は、DVD化され「Live at 渋谷公会堂」として発売されています。そちらもぜひ!


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