Wednesday 8 February 2012

2012年 愛染厄除け地蔵尊祭


今夜からまた冷え込む予報となっていますが、皆様いかがお過ごしですか。九州や関西でも厳しい寒さに見舞われ、インフルエンザが蔓延しているとききます。くれぐれもお体大事になさって下さい。

さて、今年も富士吉田市下吉田にある愛染地蔵さん(「あいぜんじぞう」とよみます)厄除け祭りの季節となりました。

昨年も記事に書きましたが(愛染厄除け地蔵尊祭 2011年2月11日付ブログ記事)、今年はもう少し地域に密着し、詳しくご紹介したいと思います。

厄年とは、災難にあったり健康を害したりするおそれが多いので、注意しなければならないとされる年齢です。一般的には数え年(元日から誕生日前日までは、実年齢+2、それ以降は+1)で、男性は25歳、42歳、61歳、女性は19歳、33歳、37歳です。男性の42歳、女性の33歳は特に悪い歳とされ、「大厄」とよばれます。


平安時代にはすでに存在し、起源は陰陽道だという説もありますが、定かではありません。
迷信と言ってしまえばそれまでですが、これらの年齢が実際に健康上、仕事上の転機に当たることも多いため、(例えば昔の女性は、19歳前後で初めてのお産を経験するなど)、今でも日本中で根強く信じられている風習です。

この時期、山梨県では甲府市も含め、県内全域で厄除けの行事が行われます。地方色豊かな行事で、地域によって微妙に異なりますが、今日は富士吉田下吉田界隈での厄除けの行事をご紹介致します。

富士吉田では女性の厄年に特徴があり、19歳、33歳、は一般的なものと同様ですが、37歳はせず、代わりに60歳に最後の厄除けをします。本厄前後の前厄、後厄もいれると、3年の間厄除けをすることになります。一生涯に9年間、厄除けをするという計算になりますね。

厄年の人がいる家は、みかん駄菓子(ポテトチップやあめなど)、、年齢と同じだけのお金(19歳だったら19円。42歳や60歳は、通常100円ぐらいをいれる)を準備し、ナイロンの袋に入れておきます。
そして班内(山梨県には、隣近所の人達で作る「班」や「組」とよばれる、小さな組合のようなものがあります。どぶさらい、ゴミ出し、回覧板などすべて班や組を一つの単位とし、皆で助け合いながら行います。都市化の進んだ甲府でも、班制度は今でも現役です)の家々に、家族の代表(普通はお母さん)が、先程のセットを配り歩きます。


「みかんまき」の風習もあります。
「今からみかんまきをしますから、来て下さいね。」と、厄年の人がいる家は、まずご近所さんに声をかけます。その後、2階の窓からみかんをまきます。多い家では10箱ものみかんをまくこともあるそうです。

もちろん近所の神社にも、厄除けのお参りにいきます。
事前に各家庭で、「だんごばら」という白いだんご(上新粉から作る。1月15日の小正月の時、どんど焼きに使うだんごと同じようなもの)を年の数だけ作り、先程のナイロン袋のセットも一緒に、神社へ奉納します。
それを神社でまいていただき、厄除けとします。

大学生や社会人など、事情がありどうしても本人が参拝できない場合には、吉田にいる家族が同級生などに頼んで(同い年である同級生は、みんな一緒に厄年ですから)、だんご等を神社へ持っていってもらい、厄除けとします。

2歳違いの兄弟3人ですと、かなりの期間、ご家族は厄除けの行事をすることになります。
19歳の女の子や25歳の男の子は、自分で準備をするというよりは、同居している祖父母や両親がしてくれるのをみて育ちます。地方色豊かな厄除けのお祭りは、伝統を受け継ぐというだけでなく、今では稀薄になりがちな地域の絆を深める大切な行事だと思います。

昨年、ベトナム・ハノイ在住の富士吉田市出身の方が、「私は今年60歳です。今日は富士吉田にいる家族が、私のために厄除けに行ってくれているでしょう。」と、ブログにコメントを下さいました。海外にいながらも思いを馳せる馴染みの深いお祭りなのです。(あの時は、コメントありがとうございました。富士吉田の方から頂いた初めてのコメント、とても励みになりました。)

もし2月13、14日に富士吉田へいらっしゃるようなことがあったら、ぜひ小さな路地裏通りに入って、周りを見回してみて下さい。きっと「下吉田の厄除け祭り」が見られることと思います。
山梨県には「無尽」(「むじん」とよむ)という独特な集まりがあるのですが、無尽会などで、厄年の人達が皆で厄除けのために、京都へ旅行へ行ったりするのも人気です。
無尽については、また後日ご紹介致します。

正彦君が25歳の時、2004年2月13日から14日(数えで25歳は、実年齢24歳)、何をしていたのかなと思って「志村日記」を見ましたら、ちょうど「『桜の季節』のPVが完成した」と書いてありました。まさに「仕事の転機」だったのですね。転機というより本格始動でしょうか。

富士吉田では、厄除け祭りに行くということであれば有給が取れますから、きっとあの日、正彦君の同級生は、皆で連れ立って神社へ行ったのでしょうね。そして彼の分も厄除けをしてきてくれたことでしょう。

そんなことを、2012年の愛染地蔵尊厄除け祭によせて、考えました。

今日の一曲は、「桜の季節」です。いつもと違って聴こえる「桜の季節」です。

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