Tuesday, 16 October 2012

「秋盤」にこめられた思い



富士吉田の金木犀は散ったというのに、甲府ではやっと咲きだしたとのこと。
2012年9月の世界平均気温が、史上最高だったそうですから、無理もないのかもしれません。

金木犀の香りは独特で、木の所在をこの季節になって初めて気付くことも少なくありません。まさに秋を感じる花です。
今年は桂花茶(金木犀の花が入ったお茶)を飲みながら、日本の秋を想像することにします。

さて、今日もツイッターで片寄明人さん(Great3)や今村圭介さん(東芝EMI)のお二人がつぶやいていらっしゃいましたが、「秋盤」はやはり本職の方たちも認める名曲だと思います。
この季節になると思い出すファンも多いと思いますが、他の季節に聴くとまたそれはそれでなんともいえない趣があり、一瞬にして秋へとタイムワープするようです。

「赤黄色の金木犀」(カップリング曲「虫の祭り」)がリリースされた2004年秋に発売された様々な雑誌記事から、今日は抜粋して書きたいと思います。



2003年の秋深まった頃、「赤黄色の金木犀」は、志村君がぽっと書いた曲として誕生します。
曲作りとは全く違うことをしている時、例えば道を歩いている時などに、その風景を切り取ってパーッと書いて曲にする、というパターンが多い志村君ですが、「赤黄色の金木犀」も典型的なそのひとつ。

パッとイメージ出来た瞬間に、その風景の中にある言葉を綴っていく感じ。
やっぱり、天才ですね・・・。

この曲の雰囲気で、秋を錯覚してもらいたいと思い、書いた曲なのだそうです。外を歩いている時などに今、体験していなくても、この曲の雰囲気を思い出して欲しい。

意識して、リズムをちょうど自然に歩く速さにしてあり、「特に外で聴いて欲しい曲」とおススメしていますが、秋のひんやりとした空気の中で聴きたい曲ナンバーワンである所以は、これかもしれません。

音楽的には、フジファブリックにしては珍しく、ギターが引っ張っていく仕上がりになっているとのこと。本当にそうですね。



そして、志村君は自分の中の「秋」を語り始めます。

志村君の「秋」は、彼の原風景の中にありました。

山梨では、秋になると街のあちらこちらで、落ち葉を燃やして焚き火をします。なぜかそれは夕暮れ時で、今考えて見ると大人が仕事終え、落ち葉を掃き集め、最後の一仕事として燃やしていたからかもしれないと思いますが、真相はどうだったのでしょう。

志村君はこの落ち葉焚きのにおいと共に思い出す、街中が煙がかった風景が、小さい頃の記憶として残っているそうです。
東京は東京で秋のにおいもあるけれど、それとは別物で、自分の「秋」のイメージははこれだと言い切っています。

「虫の声」も、イメージはふるさと、富士吉田にあるそうです。

ご実家の隣にあった古い家の庭で(今は、そこに違う建物が建ってしまったので、虫は見かけなくなったと言っています)、見かけたり聞こえたりした虫たちが、「秋の虫」というと思い浮かぶのだと言っています。

四季盤を聴くと、富士吉田を思い出すのは、志村君が抱いていたこういうイメージが深いところを流れるからなのですね。納得です。
なんとも言葉に表現出来ない秋の気忙しさや物悲しさ、匂いや風景を、若い世代に伝えるロック。
名曲です。

今日の一曲は、「赤黄色の金木犀」。
金木犀がまだ咲いていない地域の方も、散ってしまった地域の方も、今咲いている地域の方も、
ぜひ楽しんでお聴き下さい。


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