Thursday 2 May 2013

富士山 ユネスコ世界文化遺産 登録へ


富士山が、ユネスコ世界文化遺産に登録されることが決定致しました。

昨日、山梨県から中継された富士山を見て、興奮なさったフジファブリック 志村君ファンも多かったと思います。全国ネットのニュース番組でも、忠霊塔からの眺めが放送されたと聞きました。皆さん、色々な思いであのニュースをご覧になったことでしょう。

私も遠く離れたタイの地にて、知らせをききました。
志村君、天国でも報道されましたか。志村君だったら、なんて言ったでしょうね。
そんなことも思いながら、静かな心持でニュースをきいていました。

タイ国内にも、世界遺産として登録されている地が何箇所かあり、長年こちらに身をおく者として、ユネスコの世界遺産については多々考えるところはあります。複雑な思いを抱えながら読んだ今日の「風林火山」(山梨日日新聞1面の下欄にあるコラム。朝日新聞でいうと「天声人語」のようなもの)は、もやもやとしていた私の心の芯まで響きました。


名文です。

ネットでも閲覧可能ですので、ここにご紹介致します。
山梨日日新聞 「風林火山」 2013年5月2日付

私達山梨の人間にとって、いつでもそこにあるのが富士山です。
ふるさとから離れるまで、さほど意識などしていない人も多いでしょう。

でも辛い時、悲しい時、苦しい時、悩む時、いつでも変わらずそこにいて、励ましてくれるのは富士山です。
第二次世界大戦中には、開拓団として多数の方々が山梨から旧満州へ旅立ちました。戦後ずいぶん経ってからも、山梨からはブラジル始め南米へと移民する人々が、後をたちませんでした。

その人たちの心の支えとなったのが、故郷の富士でした。

その後、一度も富士山を見ることなく亡くなった方々も多かったと思います。皆さんの思いは、いかばかりだったでしょう。


志村君は「志村日記」の中で、富士山の存在がどんなものであるかを、分かりやすく書いてくれています。また「浮雲」の歌詞には、富士山に誓った志村君の姿が感じられます。

この度は当初の予定「富士山」から異なり、「富士山と信仰・芸術の関連遺産群」としての登録となりました。
日本政府がユネスコに提出した推薦書には、25件の構成遺産も含まれており、富士講などの「信仰の対象」、葛飾北斎などの浮世絵に代表される「芸術の源泉」、また富士山の美しい景観は国際的に知られているため、日本文化を象徴するという「名山としての景観」の三本柱でアピールされたそうです。

確かに成田国際空港に行くと、富士山のオンパレードで、広告と一緒にあちらこちらで見かけますし、お店には海外向けのお土産として富士山ものが多数並んでいます。
世界にその価値が認められ、「遺産」として国際的に認知されることは、日本人として祝福すべきことです。

しかし富士山と共に暮らす山梨県人にとって、世界遺産登録前も登録後も、いつだって「そこにいてくれる」富士山であることに、なんら変わりはありません。泰然自若なあの雄姿に、季節を感じ、自分を感じます。
そして私達にとって、富士山に代わるものは、存在しないのです。

宗教と名の付くものの中に類似するものが無いほど、或る意味、大いなる「信仰の対象」ともいえるのではないでしょうか。

最後に、富士山に関するステキなサイトを見つけたので、ご紹介致します。
NHK甲府放送局によるサイトで、地元の私達もみたことがないような富士山の様々な表情を、ご覧いただけます。
NHK甲府放送局 まるごとふじさん

今日の一曲は、「ペダル」。
なぜか私はこの曲を聴くと、富士吉田の上空を、一台の自転車が街を駆け抜け、富士山麓の蓊鬱たる樹海を越え、どんどんスピードをあげて青空の下、颯爽と富士山の頂上目掛け駆け上がり、空に上っていく図を想像します。
この曲のもつ疾走感を、ほかのバンドのどの曲でも味わったことはありません。

志村君の愛した富士山。
次に「吉田の宝」から「世界の宝」になるのは、志村君、あなたの番ですよ!


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