今年も残すところ2ヶ月をきりました。
時が経つのは、早いものです。
山梨の家族から「寒くなってきたよ」という言葉を聞くたびに・・・、今年も志村君のご命日が近づいてきたんだなぁ、と思います。
志村君の故郷、富士吉田は、寒い時期の長い土地柄です。それで冬の寒さが志村君のイメージと重なるのでしょうか。
夏に生まれて、冬に天へと帰っていった志村君。
季節の変わり目になると、ふとした瞬間に志村君の音楽が頭をよぎる時があります。
今日は「フジファブリックと色」をテーマに、考えてみたいと思います。
日本人と言うのは、とりわけ色について敏感な民族であるといわれます。
四季の移ろいを通して、多くの色に囲まれてきた日本人は、色彩を楽しむ文化を作り上げてきました。
まず伝統的な日本の着物。
布を染めるためにもっとも使われたのは、植物です。
ベニバナの鮮やかな赤。
刈安の黄色。
紫の語源となったムラサキ。
「和色」といわれる日本の伝統色は、見るものの心を躍らせます。
(「和色」に関しては、こちらのカラーチャートをご覧下さい。和色大辞典
また着物の伝統色に関しては、こちらをどうぞ。着物特有の色・日本の伝統色)
平安時代の宮廷の女性たちは、季節ごとに重ね着の組み合わせを変えて、楽しみました。
今の季節ですと、紅葉を表す赤と黄色の組み合わせが好まれ、屋敷の中にいても、外へ出ても風流な装いを楽しんだのです。
「フジファブリックの音楽の中には、日本人が昔から大切にしてきた感性が、ちりばめられている」と、私は感じているのですが、色についても同じことがいえると思います。
楽曲の歌詞や曲名の中に登場する、とても印象的な色の名。
例えば、特に先月は聴いた方も多かったと思われる「赤黄色の金木犀」の「赤黄色」。
赤と黄を混ぜるとできる橙色、要するにオレンジ色のことです。
「橙色の金木犀」や「オレンジ色の金木犀」より、やはり「赤黄色」という色名を使うことにより、曲名の魅力が増しますよね。
次に、「蒼い鳥」の「蒼」。
常用漢字では「青」を使うことの方が多いのですが、「蒼」と「青」は何が違うのか。
「青」の漢字の下部分は元々「丹」で、青や赤の色の顔料を取るための井戸の形から形成されました。よって、ブルー、「あお」の意味に使うのです。
「蒼」は、「あお」(ブルー)に加え、「しげる」という意味も含まれるため、草が生い茂る「あお」の意味もあります。「蒼穹」は「青空」のことですが、「蒼崖(そうがい)」というと「草の生い茂る崖」のこと。
(今では、「青」にも同様の意味を含ませることもあります。)
曲名に「蒼」という漢字を抜擢したことで、鳥の色に時として茂る緑や、澄み渡る青もイメージとして加わり(「天の蒼々たるは・・・」などの蒼なので)、「青」という色に深みが増す効果があるのではと思います。
また「青い鳥」ですと、童話「青い鳥」で兄妹チルチルとミチルが探し求める幸福の「青い鳥」が曲の伝えるメッセージとは異なるので、あえてそれを避けるために、「蒼」を使ったのかなとも、私は思いました。
次回に続きます。
今日の一曲は、「蒼い鳥」。
個人的に大好きな曲です。「悪夢探偵」という映画のエンディングテーマです。
ストーリーを完結するかのように、最後、エンディングで流れてくる「蒼い鳥」。
志村君が全てのサウンドトラックを担当する映画を、一度観てみたかったな・・・。
2 comments:
あ、蒼い鳥だ!
先週Blackheathへ花火を見ました。あの時実家に帰りたいね(笑) そして、ずっと心で「打上げ花火」を歌いました。冬も花火の季節ね。
Rhineさん、
コメントをありがとうございます。
そうです!
今日の一曲は、「蒼い鳥」です。
Black HeathにはGuy Fawkes Dayで、花火を見に行ったのでしょうか。なつかしい!
イギリスだと、季節関係なく花火を見られますよね。
タイも同様で、今月、ロイ・グラトーングの夜に、花火があがります。
「打ち上げ花火」、心の中で歌って下さっていたなんて、大感激です。
そう・・・。
実家に帰りたくなる瞬間ですよね。
「若者のすべて」は、聴くたびに山梨の花火と夕方5時のチャイムを思い出す、私にとっては涙涙の曲です。
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