皆様の地域では、台風は過ぎ去りましたか。
山梨の実家に避難準備勧告が出たのも束の間、青空が広がっているそうです。日本各地で大きな被害がでませんように・・・。
前回からの続きです。
外国人のファンに歌詞をより深く味わって頂けるよう、少しだけ注釈をつけたいと思います。
「いつの間にか地面に映った
影が伸びて解らなくなった」
日の出・日の入り時刻と昼の長さは、基本的にその土地の経度と緯度で決まります。太陽は東から昇るので、基本的に東の方ほど日の出も日の入りも早くなります。また緯度が高い地域になると(北半球の場合は、北にいけばいくほど、南半球の場合は南にいけばいくほど)、冬至と夏至の日照時間の差が大きくなります。
日本の首都、東京はE139°45′N35°41′に位置しているため、冬至が近づけば近づくほど太陽があまり高く上らなくなり、地平線に近いところを上下するために「影が長く伸びる」という現象が起きます。特に夕方、日が沈む頃は一番長くなります。
逆に夏至が近づくと、太陽は高く上るようになり、夕方になっても影が短いままです。
緯度の高いところにある国、独特の現象ですね。
赤道に近い地域の方々には、なかなか実感がわかないかもしれません。
私のいるタイも赤道に近いため、夏至と冬至の日照時間が日本やヨーロッパの国々のようには変わらず(それなりに、日の具合で季節を感じることもあるのですが)秋の夕暮れに影が伸びるという実感はわかずにいます。
以前、Twitterで片寄明人さん(Great3)や今村圭介さん(Universal EMI)のお二人がつぶやいていらっしゃいましたが、「秋盤」はやはり本職の方たちも認める名曲だと思います。
フジファブリックの生の声を通して作品を感じて頂くため、3rdシングル「赤黄色の金木犀」(カップリング曲「虫の祭り」)がリリースされた2004年秋に発売された、様々な雑誌記事を紹介したいと思います。
まずは、『BREATH』2004年10月号から。
2003年の秋深まった頃、「赤黄色の金木犀」は志村君が「ぽっと書いた曲」としてこの世に誕生します。
「一年のなかで秋に書く曲って、センチメンタルなものが出るし、また特別なんですよね。だからそういうセンチメンタルな感情が出てる曲を書きたいなと思ってたんです。ただし、アコースティックギターでミドルテンポの曲で秋を表現した曲は出したくなく・・・、と、いいつつ、カップリングの曲はそういう曲だったりしますけど、タイトル曲はエレキギターとバンドサウンドでやれたらなあと思ってて、去年の今ごろ(2003年秋)に書いたんです。」
(「アコギでセンチメンタルな感じを出すのはイヤだってことだけど、そうじゃない方法で秋を表現するとしたら?」との質問に)
「最初は弾き語りでやってたんですけど、ふとしたときに8ビートで刻んでみたら面白かったんですよ。だからそれを広げていった感じですね。フジファブリックの曲作りっていうのは、いつも、何かをしてるとき・・・・・例えば、道を歩いているときにその風景を切りとって、一瞬のことをパーッと書く、みたいな感じなんですけど、それが今回も出ましたよね。」
(「風景というより、金木犀の香りを意識させるよね。」という言葉に)
「そうですね。この曲の雰囲気で錯覚してもらえたら嬉しいというか。例えば、外を歩いているとき、体験せずとも、この曲の風景を浮かべてもらえたらいいなと思ってて」
曲のアレンジに関しては、
「歌詞はメロディや雰囲気と連動したものが書きたいので、いつも大変なんですけど、今回は段落ごとにうまく出せた気がしますね」自分の中でギターブームがきた!という志村君。
「あまり連動しすぎるとはずかしというか、もっともな感じになっちゃうかもしれないし」
「今回は珍しく、ギターが引っ張っていく感じの曲になりましたね。いつもはギターがなってても、肝になってたのはキーボードだったんですけど、この曲はギターが重要ですよね」
「一時期は"いらない"っていうくらい、ギターは削除したいものだったんですけど、最近は歪んだギターが再び好きになってきた感じで。この曲なんかはまさにそんな感じですね」
そして、志村君は自分の中の「秋」を語り始めます。
「秋」は、富士吉田での原風景にありました。
「東京に来てからはあんまりないんですけど、実家の山梨にいたときは秋になると、いろんなところで落ち葉を燃やしていて、街中が煙がかかっていて。そういう風景がちっちゃいころの記憶として残っていますね。ま、東京は東京で秋のにおいもありますけど、それとは別物な感じですよね」
四季盤に富士吉田の色が濃いのは、曲の中に自然と志村君の原風景を感じるからでしょうか。志村君流にいうならば、体験していなくても、金木犀が自生しない地域の皆さんにも「曲の雰囲気で『錯覚』」させる力が大きいと思います。
秋の気忙しさや物悲しさ、匂いや風景を、音楽・歌詞・声で伝えるロック。
カッコいいです!
今日も「赤黄色の金木犀」をどうぞ。
聴けば聴くほど、魅了されていきます。
次回に続きます。