Tuesday, 23 December 2025

2025年12月24日によせて

 今年もこの日になりました。

今年は志村正彦さんの17回忌になってしまいました。時間がたつのは早いような遅いような気がしています。


この2か月ほど、ディケンズの「クリスマスキャロル」に触れる機会がありました。英国の誇る文豪チャールズ・ディケンズが1843年に発表した「クリスマス・ブックス」の第1作で、ディケンズを世界的に有名な作家として世に知らしめた名作です。

物語を少しだけご紹介します。


ロンドンに暮らすスクルージは、お金しか信じない冷淡な老人。
クリスマスでさえ意味のないものだと考え、人とのつながりを避けて生きています。

しかしクリスマス・イブの夜、彼のもとに不思議な訪問者たちが現れます。
彼らはスクルージを導き、これまでの人生や、今この瞬間の世界、そして「これから先に待つかもしれない未来」を見せていきます。

そこでスクルージが目にするのは、自分が気づかずに失ってきたものや、人の温かさ、そして選択の重さでした。

夜が明けたとき、スクルージはある大きな決断を迫られます。
果たして彼は、これまでと同じ生き方を続けるのか、それとも――。

この物語は、「人は変われるのか、そして本当の豊かさとは何か」を、クリスマスの奇跡とともに描いた名作です。


クリスマスは、キリスト教徒にとって愛を与え、分かち合う季節。貧しい人や困っている人を助け、孤独な人に心を向け、家族や周囲の人と時間を分かち合い、許し合い、和解する時です。クリスマスには家族や親せきが集まり、一緒ににぎやかな食卓を囲み、大切な時間を共に楽しむ日です。


スクルージは、幼年期から現在、果ては未来に至るまでに味わった、または味わう「孤独」を、過去、現在、未来の幽霊に見せつけられます。幽霊達は何もしないで、ただスクルージ本人の気づきを促すのです。スクルージは孤独を直視し、愛を選び直します。


志村君という人は、人間が誰しも心の奥に持っている孤独について考え、深く理解していた人だったと思います。

ひとりひとり違う個性を持ち、思いも考えも違う。それは当たり前のことなのに、なぜ相手を分からない自分と、自分を分かってもらえない相手に、これほどのやりきれなさと悲しみをともなうのか。生まれ育ちも違う人に、なぜ深い理解と愛情を求めてしまうのか。人は「完全には理解され得ない存在」であることを知っているのに。

人は一人で生まれ、一人で死んでいく。

生きていれば決して避けることのできない大切な人や動物達とのお別れ。

志村君は、その孤独を受け入れて、立ち上がろうとした勇気ある人でもあったと思います。

私たちが必ず体験しなければならない数々の孤独と悲しみを、楽曲の中に唄ったミュージシャンだったからこそ、20年以上もの長い間、年代を超えて聴く人の心に響き、共鳴してきたのだと思います。


人は深い孤独を理解して、初めて深い愛情や優しさを理解できるようになるかのかもしれません。黒がなければ白が白だとはわからず、白がなければ黒が黒だとはわからないまま、過ごしてしまうのが人間だからです。

「クリスマスキャロル」の中に登場する過去・現在・未来の幽霊が教えてくれた大切なこと、白と黒が共に存在する意味を、志村君が神様の元へ還って行った日に再び考えました。



Monday, 15 December 2025

富士急行線 オリジナルヘッドマーク付き列車の運行のお知らせ

大月駅から富士山駅の間を走る 富士急行線。

期間限定で、2曲のもつ叙情的な雰囲気を一枚に表現したオリジナルデザインのヘッドマークを付けた車両を、運行いたします。 この取り組みには、「志村正彦さんの音楽を世の中に広く伝えたい」という思いが込められています。

富士急行線 オリジナルヘッドマーク付き列車の運行のお知らせ

【運行期間】2025年12月21日~2026年1月12日

【運行時刻】その都度、ホームページにて告知

注意:ヘッドマークは特定の車両に固定され、走行されています。そのため、同車両がどの時刻にどちらの方面に運行されるかは、当日まで未定です。決定次第、毎日、富士急行線公式ホームページ内にある「志村正彦さん特設サイト」にて告知させていただきます。

ファンの皆様、どうぞご了承下さい。


フジファブリックのインディーズ時代にリリースされた二つのミニアルバム「アラモード」「アラカルト」、メジャーデビュー後の1st アルバム「フジファブリック」のジャケットデザイン、FAB BOX III 【完全生産限定盤】 などを手掛けた柴宮夏希さんが、オリジナルヘッドマークもデザインして下さいました。

志村正彦さんの17回忌を迎えるこの季節。

オリジナルヘッドマークをつけた車両で、富士吉田の街に防災無線のチャイムを聞きにいらっしゃいませんか。特別な日になることと思います。


he Fujikyu Railway Line runs between Ōtsuki Station and Mt. Fuji Station.

For a limited period, trains featuring an original headmark design—bringing together the lyrical atmosphere of two songs into a single visual—will be in operation. This initiative is driven by the wish to share the music of Masahiko Shimura with a wider audience.

Fujikyu Railway Line: Announcement of Trains Operating with Original Headmarks

Operating period: December 21, 2025 – January 12, 2026
Operating times: Announced on the website as schedules are confirmed

Please note:
The headmark is fixed to a specific trainset and runs with that train. As a result, the exact time and direction of operation cannot be determined until the day of service. Once finalized, details will be announced daily on the Masahiko Shimura Special Website on the official Fujikyu Railway Line homepage.
We kindly ask for the understanding of all fans.

The original headmark was designed by Natsuki Shibamiya, who has also worked on the jacket designs for Fujifabric’s two indie-era mini albums À la Mode and À la Carte, their first major-label album Fujifabric, and FAB BOX III (Limited Complete Production Edition), among others.

At this time of year, marking the 17th memorial anniversary of Masahiko Shimura,

why not take a train adorned with this original headmark and visit the town of Fujiyoshida to listen to the disaster-prevention radio chime?
It is sure to be a special and meaningful day.

防災無線夕方チャイム音が、フジファブリック「茜色の夕日」に変更されます

今年もこの季節がきました。

山梨県富士吉田市の防災行政放送が、期間限定で同市出身のフジファブリック 志村正彦さん作詞作曲の「茜色の夕日」に変更されます。第29回目を迎えます。

詳細はこちらです。

富士吉田市役所ホームページ 夕方チャイム音変更「茜色の夕日」

【放送日:令和7年12月21日(日曜日)~27日(土曜日) 各日午後5時】

【曲:茜色の夕日】

【作詞・作曲 志村正彦】


冬の寒さ厳しいフジの里、凛とした空にチャイムを響かせます。

この企画は、フジファブリック志村正彦さんの音楽を通して富士吉田を感じてもらい、聴いた方の心に何か響くことを願うと共に、多くの市民に知っていただくことで地元に対する郷土愛や誇りを再認識していただき、子どもたちや若者が抱く夢や希望への後押しになればとの趣旨のもと実施しているものです。


 富士吉田市内の各所で聞くことができますが、おすすめの場所は、下吉田駅前ロータリー(山梨日日新聞のライブ配信が毎年行われます。ファンの方々も多く訪れる人気のスポットです。)、富士五湖文化センター(旧 富士吉田市民会館)です。忠霊塔は、音が反響して聞こえる可能性があります。


12月24日の天気予報は、「くもり」ですが、前後で雨が予想されています。吉田は富士山の麓の街なので坂も多いので、くれぐれも道路の凍結などにご注意下さい。お天気はこちらでもご確認できます。山梨県富士吉田市のお天気

直接足を運べないファンの方々には、毎年、12月24日午後5時に、山梨日日新聞社がチャイムのライブ映像を配信しています。もしお時間が合えば、こちらでご覧ください。

山梨日日新聞デジタル

ファンの皆様、気を付けてお越しください。志村正彦さんが愛した故郷、富士吉田を感じて頂けたら幸いです。

今日の一曲は「茜色の夕日」です。凍てつく寒さの中、チャイム音で流れる「茜色の夕日」が、天にいる志村君に届きますように。

Dear Fujifabric fans,

Once again, this season has come around.

For a limited period, the disaster prevention administrative broadcast in Fujiyoshida City, Yamanashi Prefecture, will be changed to “Akaneiro no Yūhi” (Crimson-Colored Sunset), a song written and composed by Masahiko Shimura of Fujifabric, who was born in the city. This year marks the 29th time this has taken place.

Further details can be found here:

Broadcast dates: Sunday, December 21 to Saturday, December 27, 2025
Time: 5:00 p.m. each day
Song: “Akaneiro no Yūhi” (The Madder Red Setting Sun)
Lyrics & Music: Masahiko Shimura, Fujifabric Vocalist and Rhythm Guitar

In the Fuji region, where winter cold is severe, the chime will resonate through the clear, dignified winter sky.

This initiative is carried out with the hope that people will feel Fujiyoshida through the music of Masahiko Shimura of Fujifabric, and that something meaningful will resonate in the hearts of those who listen. By making this project widely known among citizens, it also aims to help people rediscover their love and pride for their hometown, and to encourage the dreams and hopes of children and young people.

The chime can be heard in many locations throughout Fujiyoshida City. Recommended spots include the rotary in front of Shimoyoshida Station (where the Yamanashi Nichinichi Shimbun conducts a live broadcast every year—this is a popular spot that attracts many fans), and the Fuji Five Lakes Cultural Center (formerly the Fujiyoshida Civic Hall). At the Chureito Pagoda, the sound may echo and be heard resonating.

The weather forecast for December 24 is “cloudy,” but rain is expected before and after that day. As Fujiyoshida is a town at the foot of Mount Fuji, there are many slopes, so please take great care regarding icy roads. You can also check the weather here:
Weather in Fujiyoshida City, Yamanashi Prefecture.

For fans who are unable to visit in person, the Yamanashi Nichinichi Shimbun publishes a live video stream of the chime every year at 5:00 p.m. on December 24. If your schedule allows, please consider watching it there.

Yamanashi NichiNichi Shinbun Digital

To all fans, please travel safely. We would be delighted if you could feel Fujiyoshida, the hometown beloved by Masahiko Shimura.

Today’s song is “Akaneiro no Yūhi.” (The Madder Red Setting Sun)May the sound of “Akaneiro no Yūhi,” carried by the chime in the freezing cold, reach Shimura-kun in the heavens above.


Sunday, 7 December 2025

令和8年度改訂 高等学校用教科書 音楽Ⅰ 「MOUSA 1」に、フジファブリック「若者のすべて」が三期継続採用決定:第三回目記事

 教科書シリーズ最終回の今日は、「『若者のすべて』が実際、どのように教室で教えられているのか」。これはファンの皆様も、大変興味があるのではないかと思います。

まず、音楽の教科書「Mousa 1」の出版元、教育芸術社の販売する「指導書 教授資料」を見てみましょう。

日本には、国が定める学習指導要領と呼ばれるものがあります。文部科学省が全国の小・中・高校で、教育課程(ナショナル・カリキュラム)を編成する際の基準となるものです。要するに「『どの学年』が、『どの教科』で、『何』を学習するのか」を国が定めることにより、日本全国、どこの町や村で学校に通っていても、一定の教育水準に達することができるように作られています。


この学習指導要領に沿って、「各単元をどのように教えるか」を具体的に設計する授業の計画書(レッスンプラン)を「学習指導案」と言います。これは教師が独自のものを作成することもありますし、ある程度、各学校でひな型がある場合もあります。

「Mousa 1」の場合、学習指導案を含めた指導書と教授資料を、教科書の出版元が販売しています。教育芸術社 「指導書 教授資料」

こちらを見ると、「年間指導計画例に対応した題材ごとの評価基準例」というのがあります。「若者のすべて」を、生徒たちが学習した際に、何を評価基準とするかの例が、ここに書いてあるわけですが、とても興味があります。そのほかには:

「学習指導案 例」

「学習指導の流れ 例」

「指導のポイント」

「伴奏のポイント」

「楽曲について」

「ワークシート」


これらを元に、各教師が自分の授業計画書を設計していきます。想像するだけでわくわくしてしまいます。

全国の音楽教師が、「若者のすべて」を教材として、どのような指導をなさっているのか。一度でいいから授業に参加してみたいです。


元音楽教員であるコギトさんの記事をご紹介します。

「ムジクラス」【高校音楽】授業のコツとポイントまとめ「ポピュラーソングを取り上げると、生徒の反応が良いのがメリット」と書いてあります。文部省唱歌やクラシック音楽など、あまりなじみのない音楽を鑑賞する中で、「この曲知ってる!」という楽曲を、学校の教室で友達と一緒に習うのは、違う楽しみがあると思います。

また「原曲を聴き、ドラムに注目させ、どのようなリズムになっていてどんな曲調になっているか聴き取らせてみましょう。」とあります。「原曲」が存在するということは、「唯一ではないけれど、一つの表現の答えがある」ということだと、コギトさんは言っています。

フジファブリックが提示する、「一つの表現」

高校生の目には、どう映るのでしょう。

全国の高校生が、「若者のすべて」をYouTubeやCDなどの音源から、音楽の授業で聴いているという事実だけでも、感動してします。


東京都立秋留台高等学校の学習指導案が公開になっているのでご紹介いたします。

東京都立秋留台高等学校 音楽学習指導案

2学期の11・12月に「若者のすべて」を学習することになっているのが確認できます。「具体的な指導目標」に、「各曲の雰囲気を感じ取り、リズムやハーモニーを聞きながら演奏する」とあります。

また、「評価の方法」の項目には、

「観察」「実技テスト」「グループ活動」「振り返りシート」

と書いてあります。

どんな「観察」をして、どんな「実技テスト」があり、どんな「グループ活動」をして、「振り返りシート」で学習したことをどのようにまとめるのでしょうか。


教科書編修趣意書を、文部科学省が一般公開しているので、ここでご紹介します。

これは「Mousa 1」の出版元である教育芸術社が、学習指導要領に基づき編修した時に、「これが私達の教科書の特色です!」とアピールするために、文部科学省に提出した書類です。

編修趣意書 「芸術」教育芸術社

3ページに「若者のすべて」が出てきますが、「特に意を用いた点や特色」のところに

「自然や命を大切にする心、他者を思いやる心を養うことができる教材や、道徳的観点と関連付けて取り上げることのできる教材を含めました。」

と明記されています。


教科書選定委員会の意志を反映し、大阪府立高校の学習指導案はこのような内容になっています。

大阪府立高校 芸術 学習指導案

「親しみやすいポップスや効果 の旋律・リズムを知覚し特質や雰 囲気を感受しながら自己のイメ ージを持って、表現している。」

高校生が「若者のすべて」の「(原曲の)雰囲気を感受しながら、自己のイメージを持って表現する」こと。現場の音楽教師たちは、どのような指導をしているのでしょうか。


「日常の一コマに寄り添う音楽を」と願っていた志村君。

教科書に楽曲が掲載されるということは、この6年間、日本全国の高校生が「若者のすべて」を歌い、教材として学習し、歌詞を分析し、実技テストを受けることで、高校生たちの心にこの曲が刻まれます。まさにTeenager達の心に、志村君の書いた楽曲が残るのです。

青春時代に聞いた曲は、その後、さまざまな場面で頭に浮かぶ「思い出の曲」と成長していきます。今の高校生が大人になった時、「高校生の時に歌った『若者のすべて』、なつかしいね。」という日がいつか来るのです。そして一生、その子たちの人生に寄り添っていきます。

これこそ、ミュージシャン冥利に尽きることではないでしょうか。

3回にわたりおおくりした教科書シリーズは、今日で終了致します。

読んで頂きありがとうございました。「若者のすべて」という楽曲のもつ力、教科書に選定されることがいかにすごいことなのか。自分の魂のかけらを曲の中に埋め込んでいった志村正彦さんの素晴らしさ。

ファンの皆様に届いてくれたら幸いです。

富士吉田の防災無線チャイムのお知らせも、近日中に記事にいたします。

今日の一曲は「若者のすべて」です。音楽の先生がた、ぜひカップリング曲「セレナーデ」も一緒に聞いて頂きたいです。まさに「自然や命を大切にする心、他者を思いやる心を養うことができる教材や、道徳的観点と関連付けて取り上げることのできる教材」になりうる曲なのです。