Thursday, 25 October 2012

山梨の県民性


先日いろいろネットを見ていたら、興味深い記事を見つけたのでご紹介致します。
「山梨県の県民性」についてです。

最近は「カミングアウトバラエティ 秘密のケンミンSHOW」という番組がテレビに登場するなど、各県にしか通用しない常識や食文化などが話題になっています。
この番組を見ていると、

「え?なんで不思議なんですか?じゃあ、ほかの県の人達は、どうするんですか(笑)」

「じゃあ、これを他にどうやって食べるんですか?」

と、その食べ物や習慣がトピックになること自体が理解できないという反応を示す地元の方が、多いですよね。
でも、あれは当然のことです。

他県(特に東京などの大都市)に進学したり、赴任したり、結婚したりして、初めて分かることも多いものです。
私の経験から言いますと、周りから指摘されて初めて気付くパターンが多いです。
ましてやその県で生まれ育ち、同県出身の人と結婚しずっとその県に住んでいれば、尚のこと、地域限定の文化や食に気付く機会は少なくなります。

私自身も本当につい3日ほど前に、「おびちょ」(幼児言葉で「お風呂」のこと)が甲州弁だということを初めて知りました・・・。家族を含め、私の周りでは普通に通じていたので、不思議も不自由も感じなかったというのが正直なところです。
幼児言葉のため、もちろん大人同士では使いませんが、山梨出身ではない子に言って「ソレ何?」と聞かれ、初めて発覚。
知らなかった!


山梨県の県民性をネットで調べてみると、「あながち嘘ではないけど、それは個人的な問題では?」という特徴を含む記事もたくさん見つかります。
こちらなど、典型的でしょうか。とことん県民性 県民性コラム 山梨県

「真面目で努力家」
「義理人情に厚い」
「お金に細かくケチ」
「自己中心的」
「見栄っ張り」
などなど。

確かにそういう傾向はあるのかもしれないけれど、これはかなり個人差があるのではないでしょうか。

いろいろ調べるうちに、ある本に行き着きました。
「出身県でわかる日本人診断」(樋口清之 著)です。

生まれも育ちも山梨県、何代遡っても親戚一同、山梨に居るという生粋の山梨県人?の私が読んでも、納得。詳細にわたり説明してあります。

概要は、以下の通りです。


北に甲斐駒、南に富士山、まわりを高い山々に囲まれた山梨県。

昔から水害や、生産性の低い火山灰地に苦しんできた。古くから鉱山を開発したのも、ブドウの栽培をはじめたのも(約300年前、元禄の頃には栽培されていたが、果実栽培で生計をたてるというのは、日本では非常に珍しい)、生産性を高めるため。

富士吉田を中心とする郡内地方は、江戸時代の頃より桑を植えて養蚕を盛んに行い、「甲斐絹」(「かいき」)という名産品を産む。
これを開港した横浜に運んで、財を成す甲州商人が出てきた。

(横浜でも、『~じゃん』という言葉を使いますが、あれは山梨の行商人たちの話す甲州弁『~じゃん』がはじまりです。
皆さん、ご存知でしたか。)

甲斐の国は天領(幕府直轄の領地)となり、政治の貧困をうむ。過酷な自然環境と悪政の中で、生きる道を探すこととなる。

そのため、山梨県の男は、働き者が多い。女は家を守って、養蚕や織物に従事するのが精一杯だが、男は農事に励み、出稼ぎや行商をして骨身惜しまず働いたため。


樋口さんは、「山梨県人の性格を投影する山岳の姿は、美しい富士山ではなく、甲斐駒、八ヶ岳、金鶏山など、のこぎりの歯のような連峰の鋭さ」と表現します。

貧しい土地と閉塞された盆地に生まれ、地域性の強い土地に生きる人々。

また甲州人特有の道徳性があると、初代 根津嘉一郎氏(東武鉄道。詳しくはこちらをどうぞ)を例えに出し、説明しています。

「一生懸命努力して、まともなルートで成功することが美しい」
「一回でもお世話になった人には生涯かけて尽くす」

また、赤尾好夫氏(旺文社 創始者。詳しくはこちらをどうぞ)を、「謙虚で、自分に対するきびしさをもった人だが、これは山梨県人全体を通じていえる美点」といっています。

(富士山頂のご来光 2012年9月)

J Groove Magazine(2004年11月発売)の記事で、志村君もある「山梨の県民性」を言っています。

OUTLAW(1996年結成。山梨県南アルプス市出身。2006年解散。詳しくは、こちらをどうぞ)ってバンドの人達とも話していたんですけど、同じ山梨県出身なんですけど、山梨県人はどうしても「これはこうだから、こうだ」みたいなことがいえないところがあるらしくて。だから自信を持ってこうだと言えない特質みたいなものが出てくるのかもしれない。そういう県民性みたいなのはあるんじゃないですかね。

(インタビュアーに『その節は自分で思い当たります?』ときかれて)
思い当たりますね。

山梨は東京の、一応隣なんですけど、劣等感みたいなやつがありますし。
山梨には日本一の富士山があるって言いながらも、どこかで。
東京は嫌いだ嫌いだと言ってるんだけど、みんな東京に進学しちゃう、みたいなね。
でも結局東京人にはなれないというか、今でも。
東京によそ者で来てるって感じなんです。
だから、いつか帰ろうと思ってるのは山梨なんですけどね。
鋭いご指摘、その通りだと思います。
多くの山梨県人、同意して下さるのでは・・・?

「貧しい土地と閉塞された盆地」で、「地域性の強い土地」に生きるため、人と人との繋がりが非常に強いのが山梨の特徴であり、最大の魅力だと、私は個人的に感じています。
何代も続く人と人との結びつきは、とても強いものです。
曽祖父の代からの付き合いという人達は、結構周りに大勢います。

このような過酷な環境下ですから、皆と助け合って生きていかねばなりません。困っているときには助け合わねばなりませんし、昔は村八分になれば、死活問題です。

集落の皆と仲良く、波風たてずにやっていきたいと思うゆえに、主義主張をはっきりとすること、特に皆と違う意見をはっきりいうことを避けるようになったともいえるでしょう。
その影響は、今でも色濃く残っていると思います。

山梨県人が目立ちたがり屋を蔑むのも、こんな背景からなのかもしれません。

今日は、フジファブリックの音楽の魅力からは少し脱線しましたが、志村君がインタビューで言っていた意味を、考えてみました。

今日の一曲は、「黒服の人」。
だんだん寒い冬が近づいてきます。
富士吉田の冬の寒さが、思い出されます。



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